期待リターン4.0%の資産配分戦略
資産運用に損失は付きものと言われますが、だれもが資産を減らしたくはないと思っているはずです。損失が一時的に発生したとしても、どこまで資産が減ってしまうのかがわからない(見えない)ことから、不安が増して資産運用に踏み出せないのでしょう。そんな不安感を打ち消してくれる投資信託が、DIAMアセットマネジメントが運用するバランス型ファンド「クルーズコントロール」です。2015年1月30日基準の月報によれば、過去1年の騰落率は9.18%、設定来(2012年10月26日)の騰落率は26.96%と良好な運用成績となっています。
同投資信託は、国内、先進国(海外)、新興国(海外)の債券、株式という6つの資産クラスに分散投資が行われます。海外の資産クラスは、原則として為替ヘッジを行いません。
6資産への基本資産配分は、リスクとリターンの関係を基に決定し、原則として年1回見直しが行われます。基本資産配分を見直す「年次戦略」では、期待リターン4.0%を得られるように資産配分は考えられます。
2014年6月末基準の基本資産配分は、国内債券25%、先進国債券25%、新興国債券10%、国内株式20%、先進国株式10%、新興国株式10%となっています。ここまで見てくると、一般的なバランス型ファンドと変わり映えがしない気がしますが、クルーズコントロールは、現金等を活用して合計資産比率を機動的に変更するのです。
具体的に見て行くことにしましょう。
3カ月毎に下値目安値が示される
クルーズコントロールでは、債券や株式で運用されている6資産の部分を「合計資産比率」、現金などの部分を「現金等比率」と分けていますが、この2つの比率を機動的に変更するのです。資産価値が上昇している局面では、合計資産比率を増やし現金比率を減少させ値上がり益の獲得を目指します。反対に、資産価値が下落している局面では、機動的に合計資産比率を減らし現金等比率を増加させます。いずれも局面でも、合計資産比率の部分は基本資産配分比率に応じた6資産の組み合わせになっています。
ポイントは、現金等比率を大胆に調整することで基準価額の下落を抑制させることです。クルーズコントロールでは、1月、4月、7月、10月の3カ月ごとの改定日に、改定日の基準価額の2%の水準を下値目安値として決定しています。仮に基準価額が-2%に近づくとそれ以上の下落を抑えるため、現金等比率を90%近くまで引き上げてしまい、資産価値の下落局面をやり過ごす戦力を取るのです。
下値目安値は保証されているものではなく、最低でも合計資産比率は10%近くを維持されるため基準価額が下値の目安値以下まで下落することもありえます。ただし、設定来では1度も下値目安値を下回っていませんが、シミュレーションではリーマンショックのような急落時には下値目安値を一時的に下回ったようです。
注意したいのが、基準価額の下げを抑えるために90%近くまで現金等比率を高めることもあることから、資産価値の上昇局面では6資産(合計資産比率)を固定した価格よりも上昇率は劣ってしまうことです。ただし、中・長期での資産形成では上昇率が劣ることよりも、基準価額の安定の方が重要ですから、騰落率をみる限りあまり心配する必要はないでしょう。
資産を増やすには複利効果が活用すべきと良く言われますが、複利効果を高めるには基準価額の振れ幅を小さくすることです。クルーズコントロールは、大胆な資産配分比率の変更で下値不安が少なく、かつ基準価額の振れ幅が小さいファンドです。複利効果を期待して中・長期で資産形成を行うには期待が持てるバランス型ファンドと言えるでしょう。