社内報を通じて会話のきっかけを提供する
社内報などの社内コミュニケーションメディアの活用も有効です。こうしたものにはコミュニケーションのきっかけを提供するというもがあります。会話はネタを提供することでそのきっかけが掴める
コミュニケーション、平たく言えば会話ですが、会話が成立するには、2人以上の人間とネタが必要となります。話しかけるネタがあれば、その人との会話をしようと思います。ラーメン好きということが分かれば「今度、美味しいラーメン屋さんにいきませんか?」との投げかけから会話が始まるでしょうし、子供が生まれたという情報があれば、「おめでとう!」と声が掛けられます。ですから、社内報などにはプライベートを紹介する定番コーナーが存在します。この企画を通じて、会話のきっかけを提供しているのです。
このようなプライベートを紹介する企画は、大企業ですと、取り上げたとしても「誰、この人?」という結果になりかねません。会話のネタを提供しても、その人を知らない、あるいは、その人と出会うことがない、という場合もあります。よく大企業の社内報担当者と話をすると、人物紹介をする際、なぜその人を紹介するかという大義名分が必ず必要であると言われます。数多くいる社員の中から、なぜこの人を登場させるのか、一度も社内報に登場することのない社員も多い中、その明確な理由がないと取り上げづらいというのです。
深い情報を提供し、会話をさらに盛り上げる
一方、中小企業の場合は「誰、この人?」とはなりにくいですよね。人物紹介で皆に登場する可能性があるとなれば、特段明確な理由もなく、ただ順番に取り上げるということでも問題ありません。むしろ積極的に人物を取り上げ、会話のネタを数多く提供すべきでしょう。全員と出会う場面があるのですから、その出会いの場がさらに盛り上がるプライベートネタを提供したいものです。ある関西の不動産会社の社内報。社内報コンクールのゴールド企画賞の常連企業です。社員数は100人ちょっとで、この会社の社内報担当者の悩みは、社員がお互いのことを知りすぎること。つまり、社内報にみんなが知っているような情報を掲載しても、読んでくれないのです。社員も知らないような情報を提供してはじめて「おもろい! よう調べたなあ」と喜ばれるのです。
それはそれで大変でしょうが、それだけお互いのことを知っていれば、先に記した協力できる関係も構築されているはずです。中小企業であれば、組織や体制より、個人にフォーカスした企画で、個人の本音、プライベートなどを詳しく社内報に掲載していくことで、会話が盛り上がり、さらにお互いの関係性が深まっていく、そのようなきっかけとしていきたいものです。
中小企業では冒頭に記した、その会社を辞めない限り逃れられない関係ではありますが、逆に、深い関係性を築くことのできる組織でもあります。であるならば、個々人の深い情報を提供したり、深い関係性を構築できる場を全員と共有することで、大企業では難しい、社員全員との心地よい関係作りが可能となるはずです。