過密スケジュール、メジャーの動きが今後の懸念に
この活躍をぜひとも各チームでのシーズンにつなげてもらいたいと思う反面、心配事もいくつか浮上した。彼らは日本のシーズンオフにキューバの国内リーグやキューバ代表としての試合をこなしているため、休みがなく、心身ともにリフレッシュする時間がないのだ。肉体的にも精神的に過酷であることは間違いなく、日本のシーズンを常にベストの状態で乗り切ることは難しい。
「本当に難しい。日本はタフなリーグで練習量も多い。そこからキューバリーグに参戦し、キューバリーグが終わると日本に戻る。適応するのは大変で、不可能とは言わないが、難しいと言わざるを得ない」とグリエルは言う。
もうひとつの心配事は、今後、日本からキューバ選手がいなくなる可能性だ。米大リーグ機構は2月3日(同4日)、キューバ選手と契約する際に必要だった米政府の許可の取得を撤廃したと各球団に通達した。これは、米国、キューバ両国の国交正常化に向けた交渉を進めていることが背景にある。
従来は、球団がキューバ選手と契約を結ぶ前に米財務省外国資産管理局の許可が必要だったが、新しい規定では、選手本人の宣誓書の提出で済まされることになったのだ。
キューバ選手に対し、米国のメジャーリーグと日本のプロ野球の間で獲得競争が行われた場合、日本は資金面で到底勝ち目はない。すでにグリエルに関しては、メジャーリーグのスカウトの評価はうなぎ上りで、DeNAとの1年契約が終了する今オフには、メジャー入りが濃厚と見られる。
今シーズン、キューバ選手たちの日本での動向は、昨年以上に目が離せないものになりそうだ。