『モンテ・クリスト伯』では、復讐に生きる冷酷なエドモン・ダンテスを熱演。笑顔の素敵な爽やかな青年からボロボロの囚人、数々の変装と、芝居巧者ぶりを発揮しました。
ただ見ているだけで幸せ……ファンの方々はそう思ったでしょうね。とにかく美しい!台詞も曲も甘美な究極の恋愛物『うたかたの恋』のルドルフで、マリーへの一途なまでの愛、皇太子の気品と孤独を描き出しました。中でも、微笑み涙し苦しんでマリーを撃つラストシーンは絶品。凰稀かなめの神髄を見せました。
こうして宝塚歌劇の代表作を次々と務めます。
『風と共に去りぬ』では、難役、レット・バトラーを堂々と演じました。線が細いのでは?との心配の声もどこ吹く風で、逞しく包容力が豊か、何よりも色気がある魅力あふれるレット・バトラーでした。
「この役は凰稀かなめのためにあった!」そう思ったのが、レットから一転、『ベルサイユのばら-オスカル編-』のオスカル。ビジュアルが最高に似合うのはわかっていたことで、凛々しさの中に、女性であるオスカルの繊細さを常に匂わせ、魅力的なオスカルを作り上げました。
宝塚歌劇団創立100周年という記念すべき年に、宝塚歌劇の1番の代表作を、秀逸のオスカルで上演できたことは、とても意義のあることだったでしょう。
そして最後の役は、凰稀さんお得意の豪華なコスチュームプレイ『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』のグスタフIII世。国王としての品格は見事なもので、宙組トップスターとしての品格、カリスマ性そのものでした。
どの役も、掘り下げ練り上げた作業の上に、センスがプラスされ、瑞々しく生き生きと、舞台上を駆け回りました。
口跡が良く、さらに良く通る艶やかな声は、芝居にも歌にも説得力を持たせ、切れ長の目は、多くの台詞を語りました。