美しい男女が織りなす愛をロックに乗せて
『ヘドヴィク・アンド・アングリー・インチ』(2001年度作品)
東西冷戦時代の東ドイツで、ヘドヴィク(ジョン・キャメロン・ミッチェル)は、性転換の手術に失敗。股間に1インチ残したまま、男でも女でもない人間として、自身の片割れを探す人生の旅に出る……。
愛する男に次々に裏切られ、苦しみながら生き抜く主人公の半生をユーモアたっぷりに描く。全編を貫くグラムロックは、苦しむ主人公とは裏腹にポップで楽しい! ド派手なヴィジュアルが曲とマッチして、彼が弾ければ弾けるほど、ヘドヴィクの心の叫びが胸を打ちます。
監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル 出演:ジョン・キャメロン・ミッチェル、マイケル・ピット、ミリアム・ショア、スティーヴン・トラスクほか
『ベルベット・ゴールドマイン』(1998年度作品)
ロック界から消えたスーパースター、ブライアン(ジョナサン・リス=マイヤーズ)の栄光と転落を、彼のファンだった記者(クリスチャン・ベイル)目線で描いた作品。
ユアン・マクレガーがブライアンに多大な影響を与えるカリスマロッカーを演じたり、若きクリスチャン・ベイルが熱狂的なロックファンを演じたり、映画ファンとしては貴重な映画と言えそう。
グラムロックファン的には「なんか違う」という声が多いようですが、映画のバンド「ヴィーナス・イン・ファーズ」の壮大な音楽ドラマを楽しむと思えばヴィジュアルも美しくなかなか酔えますよ。
監督:トッド・ヘインズ 出演:ユアン・マクレガー、ジョナサン・リス=マイヤーズ、クリスチャン・ベイル、トニ・コレットほか
『ランナウェイズ』(2010年度作品)
ガールズロックで1970年代に日本でも大人気を博したランナウェイズの結成から衰退までを描いた女子ロック映画。青春映画でもあるのですが、あまり爽やかさがないのは、ちょっと汚れた裏側ゆえでしょうか。わりと生々しくランナウェイズの裏話が描かれており、綺麗ごとに見せていないのがいいですね。
アクの強いプロデューサー(マイケル・シャノン)の存在感も圧巻ですが、何より見物なのがクリステン・スチュワート演じるジョーン・ジェット。猫背でギターを弾きまくる姿は「間違いなくジョーンだ」と目を疑うほどです。ランナウェイズの日本での熱狂ぶりも異常な様子で描かれており、ロックスターの楽屋裏話としても興味深い。
監督:フローリア・シジスモンディ 出演:クリステン・スチュワート、ダコタ・ファニング、マイケル・シャノンほか
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