「BLUE GIANT」石塚真一
ブルージャイアント
「世界一のジャズメンになる!」高校三年生の大くんは、ある日友達に連れていかれたジャズ・ライブに触れて、電撃が走ったかのようにジャズに取りつかれます。そして、兄弟思いの兄にテナーサックスを買ってもらい、日夜河原で練習に明け暮れます。それは、大くんが世界に羽ばたき、ジャズ界での大スターになる第一歩でした。
「BLUE GIANT」は、日本のどこにでもいる高校生が、ある日ジャズに目覚め、世界一のジャズテナーサックスプレイヤーを目指すという、ストレートなスポ根ならぬジャズ根マンガです。
ジャズと大くんを取り巻く環境はもちろん、細かい部分まで作者の石塚真一は人間を丁寧に描いています。読むほどに自然に大くんに感情移入してしまい、大くんがどんどん好きになり、どんどん応援したくなり、共にどんどん成長できる甘酸っぱい青春ジャズマンガです。
「BLUE GIANT」は、ジャズ・マンガというニッチな内容にも拘わらず、大ヒットを続け、すでに名作と言ってよいマンガです。これを読めば、あなたもきっと、大くんと一緒に様々な出来事に一喜一憂するはずです。
「BLUE GIANT」については、以前も記事にしており、詳しくはコチラも参考にしてください。「ジャズ漫画『BLUE GIANT』がいい話だね!」
大くんが、颯爽と登場した第一巻の中で、いつもの河原でコピーしているミュージシャンの一人、リトル・ジャイアントというニックネームのテナーの名人の作品がコチラ!
ジョニー・グリフィン「ザ・リトル・ジャイアント」より「ロンリー・ワン」
「ザ・リトル・ジャイアント」は、テナー界の小さな巨人「ザ・リトル・ジャイアント」ことジョニー・グリフィンのあだ名の通りの代表作と言えるアルバムです。
トランペット、トロンボーンとの3管がキマッテいる一曲目「オリーヴ・リフラクションズ」など、全曲これでもかとカッコイイ、グリフィン節が炸裂しますが、今回は三曲目「ロンリー・ワン」に注目してみましょう。
ここでは、テナーサックスとベースとドラムという、同時代に活躍したテナーサックスの巨人ソニー・ロリンズの得意とするスタイルで、ロリンズに迫らんとするグリフィンの気概を感じます。
グリフィンの雰囲気たっぷりのバラード風な吹奏で始まるテーマ部分と最後にまた奏でられるテーマ部分での、ドラムのアルバート・ヒースの南海の孤島を思わせるエキゾチズムが、なんとも良い味を出しています。正体不明の巨大生物でも出てきそうな一種胡散臭いサウンドが、グリフィンの濃いサックスにベストマッチし、この曲を強烈なジャズっぽい曲にしています。
一転急速調に変わり、アドリブに入るとグリフィンの独壇場です。ジャケットのギャングスターを思わせる風貌のようにハードボイルドなタッチで次々にパンチの効いたフレーズを繰り出します。
「ザ・リトル・ジャイアント」は、全編を通しての名演ぞろい。ジャズ初心者のあなたにも超おススメの一枚です。
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今回のマンガで学ぶジャズ、いかがでしたか?きっと、ジャズが初めてのあなたにもわかりやすく、ジャズが好きになるはずです。いつの日か、どこかで一緒にジャズを語り合いたいものですね。それでは、また次回お会いしましょう!