上半身の戦術と下半身の戦略
戦術はゲームごとに様々なんです
戦術というのは、敵と具体的にどう戦うか、という話です。ゲームで言えば、火の属性の奴には水属性の攻撃をぶつけて、3ターンに1回高火力の技がくるから同じサイクルで回復して、みたいなことですね。この部分は上半身で、それぞれのゲームによって当然違いがでてきます。
モンストでは、敵や画面端にぶつかりながら攻撃し、味方に当たれば友情コンボという特殊な攻撃が発動します。また、敵にぶつかって跳ね返るキャラクターもいれば、貫通するキャラクターもいて、両者では動きが変わってきます。その為、敵や味方の位置関係というのが非常に重要になってくるわけです。こういう話は、ゲームによって様々なんですね。
一方、戦略とはどういうことか。これは戦術のもっと手前、計略、策略、実際に戦う前に練り上げるプランのようなものです。戦術は互いの力量が拮抗している、あるいは僅差で負けているような時には非常に重要ですが、そこまでどうやって持っていくのか、あるいは圧倒する状況を作るのか、というのが戦略です。
しかしこの部分というのは今人気のゲームをあたると、非常に似ているものが多いんですね。言ってしまえば、カードの収集と育成に集約されます。ゲームを始めたら、まず最初に特典で有料ガチャを無料でやれるので、そこでいいカードが揃うまで待つリセットマラソン。曜日ごとに特別なクエストがあって、お金や経験値、あるいは合成に必要なカードが手に入りやすかったりするので、できるだけ逃さないように。カードを育成する際には、それが最終的にどのくらい強くなるのかをチェックしてから、などなど。ここら辺の話がそのまま、まるっと当てはまるゲームがとてもたくさんあります。
つまり、上半身は色々なんですが、足は結局馬なので、戦略的にできることはとても似ています。
似ているのは、脚で稼いでいるから
下半身は、ユーザーに課金してもらう為の施策と密接に関わっています
上記のリセットマラソンはいい例で、多くのゲームは最初に本来有料のガチャを無料で試してもらうことで、有料ガチャではいいカードが出るということを分かりやすく体験してもらいます。一方、お金を払いたくないユーザーは、この部分だけを何度もリセットして繰り返し、よりいいカードを手に入れようとするので、リセットマラソンという行為が生まれます。
開発者が、「最初の部分を繰り返すリセットマラソンってどうなんだろうか、それって面白いの?」という疑問を投げかける時には、面白いかどうか以前に、有料のガチャを試してもらう機会を最初に設定するという、課金誘導施策を取りやめるリスクについて、あるいはその代替案について考える必要があります。
結果、課金部分で色々と新しいことをしてリスクを負うよりも、その部分は馴染のある仕組みを投入しつつ、その上に何を乗せるかで独自性を出していく、ということで上半身だけが色々な姿のケンタウロスがたくさん生まれる、という状況になっています。
おそらくこの状況は、もうしばらく続くのではないかと思います。しかしいずれはて、限界がくるでしょう。