規約のイメージ

管理規約に目を通したことがありますか?

管理組合の運営に欠かせないルールブックであり、いわば「最高規範」として位置付けられるのが、管理規約です。しかしながら、新築当時の状態のまま、その後見直されずに放置されていることも珍しくありません。

まずは、国交省の「マンション標準管理規約」の改正動向を踏まえ、現状の規約を見直す余地がないかを検討する必要があるでしょう。

管理規約が見直されない理由

区分所有者の権利関係及び管理の基本原則を定めた、最低限のルールが区分所有法です。その区分所有法が許す範囲内で、それぞれのマンション管理組合内の運営ルール等を管理規約で定めることができます。

新築マンションの場合は、分譲時にあらかじめデベロッパーが設定した管理規約(原始規約)を購入者に渡し、書面で承認を得るのが一般的です。

しかしながら、時の経過にしたがい、住戸や共用施設等の利用状況等も変わって規約を改正する必要性が生じたとしても、見直されないことが多いのが実情です。

その理由は、大きく3つあります。

(1)管理規約を読み込んだ経験のある区分所有者が少なく、全般的に認識や理解が不十分なため、問題意識が乏しいこと。

(2)規約の改正は、特別決議事項(区分所有者等の4分の3以上の賛成が必要)となるためハードルが高いこと。

(3)管理組合をサポートする管理会社が、上記(1)、(2)の事情や事務手間の煩わしさから改正に対して消極的であること。

「標準管理規約」はどのように改正されたか?

一方、国土交通省が、それぞれのマンションの実態に応じて管理規約を制定、変更する際の参考として作成、周知しているのが、「マンション標準管理規約」です。

この標準規約は、平成16年と平成23年の2度にわたり改正されています。その主な改正点をご紹介します。

【平成16年度の主な改正点】
(1)マンション管理士等の専門家を活用できることを明文化
管理組合は、マンション管理士など専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンション管理に関し相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができるようになりました。

(2)大規模修繕工事は決議要件が明確化
共用部分等の変更については、「改良が目的で、かつ著しく多額の費用を要しないもの」を除き、特別決議の対象とされていました。

本改正により、共用部分等の変更のうち「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」は特別決議の対象から除かれ、大規模修繕工事が普通決議の対象であることが明確になりました。

(3)滞納管理費回収に関する法的措置の追行の要件を緩和
共用部分の管理に関する事項は、原則として総会決議が必要とされるところ、未納の管理費等の請求に関しては機動的に対応できるよう、理事会決議により訴訟その他法的措置を追行することができるようになりました。

【平成23年度の主な改正点】
(1)組合役員の資格要件を緩和
多くの管理組合の規約では、現に居住する組合員であることが役員就任の要件と定められています。しかしながら、居住者の高齢化や住戸の賃貸化が進んだ場合などでは、役員のなり手を見つけるのに苦労するケースが少なくありません。

こうした事情に鑑み、改正後の標準規約では組合員の現住要件がなくなりました。

(2)新年度予算成立までの経常的な支出は、理事会承認で可能に
定期総会の開催時期の関係で、管理組合の会計年度と役員の任期は、数か月間ずれることになります。したがって、組合の運営実態に合わせて、新会計年度が開始した後も経常的な支出事項については、現理事会の承認があれば可能とするよう明文化されました。

(3)総会委任状の代理人要件の撤廃
旧標準規約では、総会に出席できない場合に指名できる代理人の要件として、組合員と同居する者、組合員から住戸を借り受けた者、他の組合員あるいはその組合員と同居する者のいずれかの条件を満たす必要がありました。

しかしながら、なるべく多くの組合員の意思を総会で反映させるべきとの観点から、上記代理人の要件が撤廃されました。

標準規約との比較を見直しの第一歩に

標準管理規約の改正以前に竣工したマンションの管理規約については、現状の組合の運営状況に鑑みて見直しの必要がないかを一度は確認する機会をもつべきでしょう。

特に役員のなり手不足や、管理費等の滞納問題の深刻化等のリスクが高まりつつある管理組合にとっては、標準規約の改正内容は検討に値すると思われます。

マンション管理士としては、標準規約の改正動向などの情報を適宜発信することで管理組合に啓蒙を促しながら、現状の規約を見直す機会を持てるようサポートしていくことが大切です。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。