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サンチョが主人公のドラクエV「俺屍2」(2ページ目)

今回ご紹介するゲームは、非常に評判の悪いゲームです。なんで評判の悪いゲームをご紹介するかというと、確かに評判が悪く、ゲームを台無しにするようなガッカリポイントがある作品ではあるのですが、一方で、とても魅力的な部分も持っているのです。ですから、ガッカリなところと、面白いところの、両方をご紹介して、それでも遊びたい方にはオススメしたいと、こういうわけです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

一族を育てる

俺の屍を越えてゆけ2の図

家族で写真をとってみても、夜鳥子がどうしても主人公に見えちゃうんですよね

夜鳥子のせいで脇役になってしまったプレイヤー一族。しかし、このゲームが面白い部分は、その脇役になった一族を育てること、これに尽きます。ちょっと長くなりますが、まず仕組みの説明をさせてください。

このゲームの一族は、誰も彼も、どんなに強く育てても、必ず死を迎えます、そして二度と帰ってきません。ですから、死ぬ前に神様と交神の儀を行い、子どもを残します。交神するには敵と戦うことで得られる「奉納点」を集める必要があり、たくさん奉納点があると、より位の高く強力な神様と交神することができます。

子どもは、父親と母親の素質を遺伝して生まれてくるので、たくさん奉納点を集めて、より位の高い神様と交神の儀を行い、能力の高い子どもを産み、その子がまた成長して、もっともっと奉納点を集め、さらに位の高い神様と…という具合に少しずつ少しずつ一族の血を強化していきます。ちなみに子どもは、素質だけでなく、容姿も遺伝するので、神様のご尊顔を拝して選ぶ、なんていう楽しみもあったりします。

キャラクターの素質は、心、技、体の3項目にそれぞれ、火、水、風、土の4属性があり、計12のステータスから成ります。それぞれに意味があり、例えば、体の火は物理攻撃力に影響、技の風は「術」という魔法のような攻撃の成功率や、あるいは風属性の攻撃力に関わるといった具合です。

ここに加えて、基本8種と特殊な2種の職業があります。攻撃範囲は狭いけれど、攻守に優れる剣士や、防御力は低いけど回避が得意な拳法家、術が得意な踊り屋などなど。そこで、攻撃力が不安だから次の交神は火の神様を選ぼう、とか、技の素質が伸びるような神様を探して、踊り屋にしようとか、でもこの神様顔が好みじゃないんだよなーとか、悩むのがすごく楽しいわけです。

瞬間的にインフレする戦闘

俺の屍を越えてゆけ2の図

「わっしょい!」の掛け声とともに併せを使えば、雑魚敵なんて1発で全滅です

俺屍2は、戦闘のチューニングもまた独特です。とても特徴的なのは、ステータスの大小が、攻撃の威力などに与える影響が非常に大きいことです。ですから、攻撃力を高める術や、属性攻撃の威力を高める術を重ねがけしていくと、どんどんどんどん、ダメージがあがります。逆に言うと、素ではまるで歯が立たないような強敵も、登場するということです。

さらに、「併せ」という仕組みがありまして、これは攻撃用の術を複数で一緒に使うんですね。誰かが併せを開始すると他のキャラクターが参加するまで術の準備状態に入り、それぞれのキャラクターは自分の行動順の時に、同じ術が使えれば併せに参加することができます。2人で4倍、3人で6倍、4人の併せなら8倍の超威力。

さらにさらに、奥義という最後の切り札がありまして、これはキャラクターが成長していき、一定のステータスを越えると大技を編み出すという仕組みです。奥義には編み出した本人の名前がつけられ、いざという時に使えば大変な威力を発揮します。しかも、この奥義にも併せがあるんですね。奥義は自分で編み出す他、一子相伝で同じ職業の自分の直接の子に伝えることができます。奥義の併せは、2人で5倍! 

ただし、使うと健康度というステータスを消費してしまうんですね。健康度はキャラクターの命を管理するステータスで、体力が減ったり、長くダンジョンを探索したりすると減っていきます。若い頃はちょっと減ってもすぐに回復しますが、歳をとるごとに回復どころか何もしなくても減るようになって、最後は永遠の眠りにつくわけです。奥義は健康度と引き換えに放つ、最後の手段というわけです。

そのキャラクターが生まれ持った素質、そしてその素質を育てあげ、そのストロングポイントを術の重ねがけによって天井まで強化して、併せや奥義で解き放てば、その瞬間にとんでもない威力を発揮する、そういうシステムを持ったゲームなんですね。

この仕組みは、一族の歴史を、一瞬の命の輝きへと凝縮します。
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