マネジメント/マネジメント事例

大マジメに考える、KISSがももクロとコラボする理由(2ページ目)

アメリカの大物ロックバンドKISSが、日本のアイドル・ユニットももいろクローバーZとのコラボレーションCDを発売したのが2015年1月28日。迫る2015年3月のKISS来日ステージでは共演もするという話が話題になっています。ロックレジェンドがなぜ、日本のアイドル・ユニットと共演なのか。音楽ビジネス集団としてのKISSの、ももクロとのコラボの裏に隠れたビジネス・コンセプトに迫ります。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

キティちゃんからももクロへ。計算されたキャラクターコラボ作戦

さて、このようなビジネス・コンセプトを持つKISSが、今回なぜ日本を代表するアイドルユニットである「ももいろクローバーZ」とコラボするのでしょう。このコラボ、KISS側からのおファーで実現の運びになったそうですが、やはりキーになったのは彼らのビジネス・コンセプトとももクロのそれとの共通項であったようです。

解説

世間をアッと言わせた「KISS=キティちゃん」コラボグッズ

そのヒントは、12年に実現した日本でキティちゃんとのコラボレーションによる、4人のメイクをキティちゃんに施し人気を博している「KISS=キティのグッズ」に見ることができます。KISSとキティちゃん? 何とも意外過ぎる組み合わせに思えるのですが、先のKISSのビジネス・コンセプトから考えるなら、これはキャラクターの競演ビジネスであると受け取ることが可能でしょう。キャラクター・ビジネスを展開してきたKISSにとって、キャラクターコラボ展開は新たなファン層獲得に向けた重要戦略でもあるのです。

KISS=ももクロ、意外な共通点

ももいろクローバーZは5人組のアイドルユニットですが、AKBに代表される他のアイドルユニットとの決定的な違いがひとつあります。それは、一人ひとりを別々のイメージカラーでコーディネートし、派手なコスチュームでプロレスや格闘技との共演でステージを演出する点。まるで戦隊モノのヒーローのようでもあり、メンバー一人ひとりのキャラクターが立ち、かつアクティブであること。KISSとの共通点はそこに見出すことができます。

もうひとつ忘れていけないのは、ももクロのサクセス・ストーリーです。ただ歌って踊るアイドルではなく、全国を車で回っての路上ライブからスタートしていると言うロックな経歴を持つ彼女たち。大槻ケンヂはじめ多くのロックミュージシャンやロックファンから絶大な支持を受けている理由も、そのあたりにあるのかもしれません。こうやって見てくると、KISSがももクロに目をつけたのは、至極当然の流れであったように思えてくるのです。

異色のロックバンドとして、キャラクター・ビジネスを活動の大きな柱に据えるKISS。キティちゃんとのコラボで新たなファン層を獲得し、今度はももクロのファン層にも確実に支持を広げることでしょう。デビュー40年を経てなお、レジェンドの輝きが増すことはあっても褪せることは当分なさそうです。

【参考動画】
夢の浮世に咲いてみな/ももいろクローバーZ vs KISS
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