爪の病気は大きく2種類……爪自体の病気か、全身疾患が原因か
爪の病気は、爪自体の病気として現れるものと、全身の病気の症状の一つとして爪の変形が見られるものの2つに分けられます。それぞれによくある病気の症状、原因、治療法について、以下にまとめました。<目次>
爪自体の病気の場合【爪白癬・巻き爪・爪周囲炎など】
■爪白癬(つめはくせん)初期は爪の先端部分に縦方向の線が見られ、進行すると爪の厚さが増し、もろくなり、先端から爪が崩れていきます。爪全体の形が曲がるなど外観が大きく変形するので、医師が見ればすぐに診断できます。通常は足白癬(いわゆる水虫)に合併して発生。足白癬を適切な時期に治療すれば、爪白癬にまで進行することは稀。確定診断は、糸状菌(白癬の原因菌)を顕微鏡で見つけることです。皮膚科専門医であれば、外来受診の当日に顕微鏡検査で診断可能。外用薬で完治することは難しいですが、抗真菌薬を内服することで確実に治療可能です。詳しくは「爪白癬(爪水虫)の症例画像・症状・治療」をご覧ください。
爪が厚くなり 縦に線が入り 先端が割れてきます
■巻き爪
爪が湾曲し爪の横に食い込んだ状態で、外傷と似ています。痛み、炎症、化膿などの症状が合併。原因は深爪が多く、けがが原因となることもあります。診断は専門医であればその場で診断可能。治療法は、化膿している時には、応急処置として部分的に爪を切除。根治的な治療として、ワイヤー法、フェノール法、手術療法など。詳しくは「巻き爪の治療法・予防法」をご覧ください。
指先の炎症が起きた巻き爪 爪の横に肉芽腫が認められます
■爪周囲炎
爪のまわり全体に炎症がみられ、細菌性のものとカンジダ性のものがあります。症状は爪周囲の発赤、疼痛といった炎症症状が出現。水仕事で皮膚がふやけること、指しゃぶりのためと思われる生後すぐの乳児、また外傷など様々なことが原因。診断は専門医であればその場で診断可能。治療は、抗菌薬の投与、爪部分切除などが必要。
急性期の爪周囲炎 爪の周りに発赤が見られる
慢性期の爪周囲炎 爪の横に白い膿みが見られます
■爪カンジダ症
症状としては爪白癬とほぼ同じ。診断は培養でカンジタを検出すること。治療は抗真菌薬の内服。
爪カンジダ 縦の線が入り先端が割れています
■爪に発生する悪性黒色腫
爪の下にホクロに見える色調の変化があり、大きさが増大したり、出血を伴なう場合、悪性黒色腫を疑います。診断は腫瘍の一部を採取して細胞を顕微鏡で診断することが必要。悪性黒色腫は非常に進行の早いガンで、診断がついた時点ですぐに拡大切除が必要となるため、悪性黒色腫の治療実績のある病院を受診すること。治療は腫瘍の切除、進行度に応じてリンパ節郭清、化学療法(抗ガン剤)が追加となります。関連情報として、「皮膚がん・皮膚悪性腫瘍の症状・治療法・症例画像」もご覧ください。
爪に発生した悪性黒色腫
■扁平苔癬(へんぺいたいせん)に伴う爪の変形
後天性角化症の一つで成人に多く見られ、全身に発疹が出ます。薬剤が原因の場合が多い疾患。この病気では、爪が薄くなり部分的に消失することもあります。
扁平苔癬に伴う爪の変形 爪は薄くなって割れています
■尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)に伴う爪の変形
同じく後天性角化症の一つで成人に多く、全身に発疹が出ます。原因は不明ですが遺伝的な影響が考えられます。この病気では爪の肥厚、変形などがみられます。関連する情報として「乾癬(かんせん)の画像・診断・治療法」をご覧ください。
尋常性乾癬に伴う爪の変形 爪が厚くなっています
爪の変形を伴うその他の病気
その他の病気が原因で、爪の変形が起きることがあります。主な症状は以下の4点。爪に治療は必要ありません。原因である内科疾患の治療を行います。■時計皿爪(とけいざらつめ)
別名、ばち状指。爪全体が大きくなって時計ガラスのように丸く隆起し、さらに指の先端が厚く、太鼓ばちのように肥大する変形。慢性の心疾患、肺疾患で見られます。
時計皿爪による爪の変形 爪が大きく時計ガラスのように丸くなり 指の先端も厚くなります
■スプーン爪(すぷーんつめ)
爪中央が陥凹してスプーンのような形となります。鉄欠乏性貧血で見られます。
スプーン爪 爪中央が陥凹します
■爪甲縦溝(そうこうたてみぞ)
爪に縦の方向の溝が何本も見られる状態。病気でなく老人にみられる場合が多いです。
爪甲縦溝
■爪甲横溝(そうこうよこみぞ)
爪に横の方向の溝が何本も見られる状態。感染症、糖尿病、外傷などが原因で生じます。
爪甲横溝
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