皮膚・爪・髪の病気/水虫・爪白癬

爪白癬・爪水虫の症例画像・症状・治療法

【形成外科医が解説】爪白癬はよく見られる爪の疾患の一つ。一般的に「爪水虫」とも呼ばれます。爪白癬になると、爪に縦の線が入り、爪が厚くなり、先端がくずれ落ちてギザギザの形になり、時に巻き爪を合併します。実際の症例画像を挙げながら、爪白癬の原因、症状、予防法、治療法を解説します。

井上 義治

執筆者:井上 義治

形成外科医 / 皮膚・爪・髪の病気ガイド

爪白癬とは……カビである白癬菌が原因で起こる「爪水虫」

足の爪

健康に保ちたい「爪」。もしも手足に水虫がある場合は、爪水虫とも呼ばれる爪白癬に注意が必要です。

「爪白癬」とは、水虫に合併し、カビである真菌に分類される白癬菌が爪に感染することで起きる病気です。一般的に「爪水虫」とも呼ばれます。

水虫が原因なので、手足をよく見ると水虫があることがほとんど。水虫と同じで足に見られることが圧倒的に多いです。水虫は日本人では頻度の高い疾患なので、爪白癬も高齢者では普通にみられる病気です。
 

爪白癬(爪水虫)の症状・症例画像

本来白癬菌は爪の角質に定着するもので、爪に縦の線が認められます。時間の経過で厚みが増し、先端が欠けてギザギザの形状となります。時に厚みを増した爪が爪周囲の皮膚に食い込み巻き爪となることがあります。
爪白癬

爪の厚みが厚くなり 縦に線が生じます 先端が欠けてギザギザになります

 

爪白癬(爪水虫)の診断法・検査法

感染した爪の材料を顕微鏡診断で菌糸を発見し、爪白癬と診断します。
菌糸

KOH テストという染色で白癬菌の菌糸を見つけます


注意しなければならないのは「偽陰性」といって、爪白癬なのに検査の結果が陰性となる場合がよくあること。特に抗真菌剤を開始した後は検査が陰性にでることが多いです。

爪白癬の診断は顕微鏡診断を複数回行っても診断がつかないときがあります。組織診断、培養など様々な検査を追加してようやく診断がつくこともあります。
 

爪白癬(爪水虫)の予防法……水虫の放置は危険

爪白癬の予防は、水虫が皮膚に感染している間に完治させれば、爪まで白癬が感染することはありません。こまめに手、足の指を観察し、水虫をみつけたら、すぐに病院を受診しましょう。爪白癬は予防ができる疾患です。しかし水虫を長い間放置すると爪白癬にかかる率が高くなりますので注意。
 

爪白癬(爪水虫)と治療法・対処法……抗真菌薬と手術

水虫と違って、爪白癬の場合、抗真菌薬の内服が必要となります。

■イトリゾール
重篤な肝障害、腎障害で使用ができません。薬物相互作用が多く、ステロイド、抗不安薬、降圧剤、抗凝固剤、抗不整脈薬、抗結核薬、抗菌剤、抗テンカン薬など多くの薬物との併用で、作用を増強したり作用を弱めます。パルス療法といって、1日400mgを2回に分けて1週間服薬し、3週間の休薬とあわせて1クールの治療を行います。これを3クール行うことが保険で認められています。ただしこの治療でも完治しない場合があります。

■ラミシール
1回1錠を1日1回服用するだけの治療です。治療期間は爪が完全に生え変わるまで6ヵ月間から1年間の期間です。イトリゾールほど薬物相互作用がなく、楽に治療ができるので、私は第一選択として使用しています。

■爪白癬治療のための外科手術
薬物単独でも根治できない場合、爪を抜去し、その前後で短期間内服薬を使用します。その後は外用薬で治療を継続します。この治療で、薬物単独で治癒しなかった爪白癬の方を治療し、大部分の方で治癒が得られます。ただし全部の爪を抜去することは難しいので、1本ないし2本の爪白癬の方に限られます。
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