スズキの新型軽自動車アルト試乗! アクセルを踏むと…?
軽自動車本来の「方向性」はベーシックカーである。豪華路線を歩めば利益は追求出来るかもしれないが、やがて「なんのために軽自動車は普通車より安い税金に抑えているのか?」という批判にさらされることになるだろう。結果的に軽自動車の将来に悪い影響を与えると思う。
アルトのような軽自動車なら誰もが「公共交通機関の無い地域の重要な交通手段」と認識し、異論を挟まないだろう。……と、前置きはこのあたりにして試乗と行きましょう。まず売れ筋になるCVT仕様から。Dレンジをセレクトし、アクセル踏むと「ややや!」。期待通り軽快である。
なにしろ車重650kgと驚くほど軽い! ダイハツの最新軽自動車であるムーヴの場合、売れ筋グレードは820kg程度。人間の体重をイメージしていただきたい。アルトの65kgに対し、ムーヴ82kgということ。搭載されているエンジンは660ccでほぼ同等。何と17kgも太ったようなものです。
それでいて使い勝手を犠牲にしているかとなれば「いいえ」。運転席はもちろん、後席のレッグスペースなども同等。大人4人が余裕で座れるのだった。アルトに乗るとムーヴはムダに太っているような気がします。また、軽いから安定感がないかとなれば、そんなことはない。
アルトの「シンプルで軽くて扱いやすい」という“特徴”は新鮮!
さらに驚くのが燃費! 試乗コースは流れの良い一般道だったこともあり、普通に走って25km/Lくらい走ってしまう。燃料タンクは27Lと決して大きくはないものの、満タンで600km前後走ってくれる。で、20L入れたら2600円。このくらい燃費が良いとガソリン代も気にならない。試乗会場にはベーシックグレードの5速マニュアル車と、5速マニュアルを油圧で行うASGという変速機のモデル(ペダルは2つなのでAT免許で乗れる)も用意されていた。5速マニュアル車は一段と軽い610kg! もはやこの軽さだと普通のエンジンでもスポーティに感じてしまう。
試乗車は制御系の完成度がイマイチで、アクセルを踏んでからパワーが出るまでのタイムラグが大きいなど違和感があったけれど、上手に仕上がってくれば楽しいクルマになると思う。最近のクルマはドンドン豪華になっていく。そんな中、シンプルで軽くて扱いやすいという“特徴”は新鮮な感じ。
ASGについては「今の味付けだと厳しいですね」。加速時にクルマが自動でクラッチを切ってギアを変え、クラッチを繋ぐ動作を行うのだけれど、遅くて不自然。そもそもCVTの仕上がりが良く、燃費だって勝てない。もう少しキッチリ仕上げないと商品として難しいと考えます。
ということで、アルトのCVTについては大いに推奨したい。足としてだけでなく、軽さが効いているのか乗って楽しいのだった。私ならマニュアルを選ぶ。サスペンションに手を加えたり、ラリー車のような補助灯を付けたりするなど手を加えて遊んだっていい。ASGについちゃ試乗して決めてほしい。
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