演劇・コンサート/演劇関連インタビュー

貧困女子?これが私の生きる道 劇団員のリアルに迫る

突然ですが、あなたは「劇団員」と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?夢を追う姿、貧乏、レッスン、アルバイト生活、恋愛でゴタゴタetc……。今回はちょこっと趣向を変えて東京で夢を追う”アラサー女性劇団員”のリアルに迫ってみたいと思います。

上村 由紀子

執筆者:上村 由紀子

演劇ガイド

突然ですが、あなたは「劇団員」と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?夢を追う姿、貧乏、レッスン、アルバイト生活、恋愛でゴタゴタetc……。最近では語学学校や保険会社のCMにもお洒落なテイで登場するようになった「劇団員」という生き方。今回はちょっとモードを変えて、アラサー女性劇団員の”リアル”に迫ってみたいと思います。

お話を伺ったのは28歳、アラサー真っ只中の劇団員・薫さん(仮名)。公演のプロモーションでも演劇論でもなく、普段の生活を語って頂くという事で、仮名でのトークです。

彼氏は”詩人”志望……やっちゃいました!


――まずは薫さんの所属する劇団の形態と現状を教えて下さい。

ウチは大学時代の仲間で作った劇団で、主宰は女性。メンバーは男性2人、女性は私も入れて4人という構成です。公演は基本、1年に1回か2回くらいで客演さんに入って貰い、小さな小屋(劇場)を借りて打ってます。当然、劇団公演にギャラはなく、衣装や小道具はほぼ自腹です。

屋上

(撮影:演劇ガイド・上村由紀子)


――という事は普段はバイト生活ですよね?

そうですね、私の場合はバイトというよりOL生活に近いかも(笑)。正社員ではないのですが、人材派遣会社に登録していて、通常は9時から5時半まで派遣された企業でデータ入力の仕事をしています。

――ああ、最近そういうスタイルで演劇を続ける人、特に女性に増えてますよね。

もう少し上の世代の先輩たちだと、飲食関係や引越し屋さんでバイトをしながら芝居をやるって事も多いみたいなんですが、私は親に泣かれたこともありまして、一応、満員電車に乗って働きにも行ってます。男子は24時間体制のサポセン(企業のサポートセンター)で電話応対やPC対応のバイトをしてる子、多いですよ。

ウチの劇団も公演を打つ時に30~40枚くらいのチケットノルマがあるんですが、これを芝居関係の知人に買って貰うのって結構キツいんです、何度も頼みづらいし。でも会社の人たちだと「出るなら観に行くよー」って気軽に劇場まで来てくれるのがありがたいですね。

――なんだか楽しそうでいいですね(笑)。

いやいや、かなりポジティブに喋ってるところもありますから! 将来は見えないし。私は佐賀県の出身なんですけど、地元に帰ると友達は皆ママになってたり、男子は立派な家まで建てたりしてます。そういう同級生たちを見るとやっぱりザワつきますよね。地元に帰る度に婆ちゃんに「もう帰って結婚しろ」って泣かれて正直キツいです。

――薫さん、彼は?

そこ、ツッコミます?(笑)。実は今、一緒に住んでる人がいますが実家には内緒です。詩人を目指しながら福祉関係の仕事をしている人なんです。

――ま、またナイーブなところに行きましたね。

私、絶対に芝居関係の人と付き合いたくなかったんですよね。ウチは主宰が女性で男性メンバーも草食系なんで恋愛のゴタゴタってないんですけど、他を見てると主宰の男性と制作女子、女優が三角関係になって主宰がカッターで自分の腕を切って暴れたりとか、女の子の方がいつの間にか夜の仕事で男を食べさせてたり……そういうのキツいなあ、と。で、カフェの夜イベントを手伝った時にお店の常連だった彼と会って付き合う事にしたんですけど、まさか詩人志望だったとは……やっちゃいました(笑)。

――彼との将来って考えたりします?

うーん、どうなんでしょう……ぶっちゃけ、今がいいならそれでいいって気持ちが強いです。今は仕事と劇団関係の稽古や雑事、本番でいつの間にか日々が過ぎている感じで。

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