『貧困女子』ギリギリのラインで生きてます

屋上

(撮影:演劇ガイド・上村由紀子)


――じゃあ、自分自身の将来は?

考えますけど……この世界って、力があれば売れるって訳でもないし……突き詰めて行くと病むのであまり深く考えないようにしてる所もあります。テレビで”貧困女子”の特集をやってるとつい見入っちゃいますね。自分もそのギリギリのラインにいて、いつ生活が破綻するか分からない状況なので。何となく会社に行って稽古して1年に1回公演を打つことでどこか安心してるのかなあ……本当はもっとワークショップやオーディションに参加するべきなんでしょうね。

――元々、「劇団員」として演劇をやろうと思ったきっかけって何だったのでしょう。

私は佐賀の出身なので、演劇って言うと学校の体育館で見る舞台か、たまーに地元に来る劇団四季くらいで、東京に出てくるまで小劇場って知らなかったんです。で、ある時「大人計画」の舞台を見に行って、阿部サダヲさんのようにテレビでしか見た事がない人たちがすぐ目の前で演技をしているのに衝撃を受けました。丁度大学にも演劇系のサークルがあって、そこでしごかれ舞台に立つうちに就職の機会も逃して今に至るという感じでしょうか。

――お話を聞いていると、アグレッシブと言うよりクールという言葉が当てはまる気もします。

そうですか?うん、確かに体温が低いのかもしれません。でもいい加減にやってる訳じゃないんです。熱くなることにどこか照れがあるのかもしれないですね……ゆとり的な?これでも舞台に立つと”人が変わった”って言われる位にハジけますよ。

――薫さんにとっての”ゴール”ってどこなんでしょう?

ゴール……難しいですね。今、三軒茶屋の駅からチャリで爆走して12分のアパートに住んでるんですが、せめて徒歩10分以内の場所に住みたいです(笑)。最終的に芝居だけで生活できるようになれたらそれが1つのゴールなのかと思います。派遣社員で芝居は持ち出しで貧困女子ギリギリの生活なのかもしれませんが、やっぱり夢を追うって楽しいですよ。公演の1週間前くらいから蜃気楼が見えるくらい疲れ果てますけど(笑)。芝居が終わって、しばらく抜け殻になってまた稽古が始まって……この生活、いつまで続けられるのか自分でも良く分かりません。ゴール……難しいですね。

店内

(撮影:演劇ガイド・上村由紀子)



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一口に「劇団員」と言ってもその形態は様々。劇団四季のように商業的にも成功している劇団や、文学座・俳優座の様な老舗、そして映像にも人気俳優を送り込む大人計画やナイロン100℃などのメジャー劇団、更に星の数ほどあるであろう薫さんが所属するような小さな集団……それぞれに「劇団員」と呼ばれる俳優たちが所属し、365日、どこかの劇場で多くの公演が打たれています。

まずは”舞台に立ちたい”と夢を見て、次に”芝居をすることで生活できるようになりたい”と、更なる野望を抱く。そんな「劇団員」たちが”貧困女子”なんて最近よく聞く四文字にほんの少し怯えながら、今日もどこかの稽古場で声を枯らしているのかもしれません。

今回はアラサー劇団女子にスポットをあててみましたが、機会があれば夢を追う”劇団男子”にも話を聞けたらと思っています。演劇界にも押し寄せる草食系の波……果たしてその実像は如何に!?


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