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ドラマをグッと深くする活きた台詞を考えてみる(2ページ目)

想像を超えた物語の展開。未知の世界への好奇心。ドラマを興味深くする要素はいくつもありますが、今回は脚本、特に”台詞”について考えてみます。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

ドラマガイド

いつの時代も視聴者の心に響く台詞

登場人物のその言葉に救われた。その一言に号泣した。そこにドラマのチカラがあります。台詞の魅力は大きく4つ考えられます。

1:その人物にしか言えない特別な言葉

「嘘には3つある。自分を守る嘘 。他人をあざむく嘘 。他人をかばう嘘だ」(『新参者』より)

主人公加賀恭一郎(阿部寛)の言葉は人間への愛があふれています。「嘘は美味いが、すぐしける。本音は不味いが、一生もんだ」「嘘を抱えたままでは、償うことにはなりません」など「嘘」についての言葉が多いと言えますが、どの言葉も人形町の街に溶け込み、生きていることの切実さと優しさを実感させてくれます。事件の背景にある一人ひとりの気持ちに寄り添うことで、事件の本質が見えてくる。刑事ならではの言葉と言えます。


 

2:どこかで聞いたことがある自然な言葉

「全部 話してみなさい。大丈夫やけん。大丈夫大丈夫」(『Nのために』より)

2014年、一番泣けた台詞です。余命宣告をされた杉下希美(榮倉奈々)が、長い間許すことができなかった母親の住む町に行き、初めて「怖い」と泣きます。そんな希美に今まであたふたするばかりだった母親がしっかりと抱きしめながら言った言葉です。

「ちゃんと話しなさい」「言ってごらんなさい」と、自分のことを本当に愛してくれる人に言われた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。プロの役者による長台詞も魅力的ですが、ごく普通の言葉にジンと涙が出ることも少なくありません。


3:ここぞいう時に発せられる決め台詞

「小さくまとまんなよ!」(『チャンス!』より)

カリスマ性の強い売れないロックシンガーの主人公本城裕二(三上博史)が、ことあるごとに発していた台詞ですが、なぜか心に響く説得力ある言葉です。この言葉を心のどこかにしまっている人もいらっしゃることと思います。

「じっちゃんの名にかけて」(『金田一少年の事件簿』)や「お前らのやってることはマルっとお見通しだ!」(『TRICK』)など、誰の記憶にも残っている台詞が、コミュニケーションワードになったりみんなで盛り上がれたりと、様々な価値を帯びることもドラマの素晴らしさだと感じます。

 


4: ちょっと可笑しいけどその通り!とテレビの前でつい笑ってしまう台詞

「弱っているといろいろ思い出す」
「結婚は判断力の欠如 離婚は忍耐力の欠如 再婚は記憶力の欠如」
(どちらも『最高の離婚』より)

いわゆる「うまいこと言うなあ」には脚本家の言葉のセンスとプロの技を感じます。もしかするとちょっと不謹慎かもしれない。こんな状況で言うべき言葉ではないかもしれない。でもその言葉に肩の力が抜けた。心が軽くなった。そんな経験は誰にでもありそうです。そしてそんな言葉たちに出合いたい。私たちがウシシと待っている台詞です。

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