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ドラマをグッと深くする活きた台詞を考えてみる

想像を超えた物語の展開。未知の世界への好奇心。ドラマを興味深くする要素はいくつもありますが、今回は脚本、特に”台詞”について考えてみます。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

ドラマガイド

ドラマのおもしろさとは何でしょう。予想できない物語の展開。日常では考えられないスケール。知らない世界を垣間見る…など。それぞれだと思いますが、登場人物の台詞に魅かれる人も多いのではないでしょうか。今回は支持されている作品の脚本について考えてみたいと思います。


登場人物の人間性を魅力的に引き出す脚本家

1: 時代のニーズをバランスよく表現するスペシャリスト 福田靖
『救命病棟24時』シリーズ、『ガリレオ』『龍馬伝』『HERO』『Doctors~最高の名医』など、ヒット作を数多く手がけている人気脚本家です。コメディー、大河ドラマ、医療ドラマと描く世界は幅広く、多角的な視点から描かれた職業観は私たちを夢中にさせます。強い信念を持って自らの仕事に従事する生命力あふれる主人公、個性的で人間味あふれる脇役。彼らが出会い価値観を探り合いぶつけ合いながら”誇りある現場”を確立させていく福田作品。文学性、エンターテインメント性、コメディー色がバランスよく融合しているところも視聴者をあきさせません。

『救命病棟24時』シリーズにおいては、知名度が高いとは言えない名脇役、看護師の婦長や病院に出入りする生命保険のオバちゃんの胸にしみる台詞も印象的でした。


 

2: 言葉の面白さと深さを追究し続ける 坂元裕二
『Mother』『それでも、生きてゆく』『Woman』という渾身の問題作から ユーモアと本音を織り込んだ台詞が話題になった『最高の離婚』まで、テーマを選ぶ覚悟も、言葉を生むチカラも突き抜けている脚本家です。視聴者は目を背けてはいけない現実を目の当たりしながらも、描かれる人間の生きる力の強さを感じながら、懸命に作品に向き合います。視聴者との間に信頼関係が根付いている凄い脚本家だと感じます。

社会性とメッセージ色の強いドラマには、当然そこに責任が生じます。脚本が持つ社会性を意識し、そこを正面から受け入れて書くことができる書き手と言えるでしょう。

 

3: 「観察力」と「想像力」がクラシックと新しさを成功させる 三谷幸喜

『三谷幸喜論』
で書いた内容に追加したいのは次の2点です。

1)オールスターキャストを活かす
ドラマや映画に対して“役者の無駄遣い”と言われる作品もあります。俳優の知名度に頼り、役者のよさを活かしきれていない作品は確かにあります。しかし、三谷作品は役者の知名度に頼っての配役ではありません。一言でも、ワンカットでもその人でないと演じられないものを強烈に見抜き、すべての役者が不可欠な存在として画面映すチカラは圧巻です。

2)エキストラを活かす
現場の助監督の力量も大きいですが、『大空港』にしても映画『清州会議』にしてもエキストラがその風景に溶け込み、時にいいスパイスとして存在していることに感動します。当然のことのようで難しいことなのです。そうではない(エキストラが浮いている)作品を見ると、三谷脚本の完成度の高さとこだわりを感じることができます。

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