J-POP/ヴィジュアル系グループの情報

2015年注目すべきヴィジュアル系バンドを検証(3ページ目)

変動の多いヴィジュアル系シーンだけに、バンドの行く末というのは実に予想が難しい。そこで、具体的に『勢いがある』『人気がある』と言われるバンドとは、どのような要因に基づいているのか。裏付けを検証し、そこに基づいて、2015年注目のバンドを紹介します。

執筆者:金川 彩子


対バン力

ヴィジュアル系バンドにとって、ライブの動員を増やすのに一番のチャンスとなるのは対バンと呼ばれるイベントライブだ。現在はニコ生、ツイキャスの生放送など、ファンの獲得に繋がるツールが増えたが、やはり対バンに勝るものはない。そこでライブを行なわないことには、動員の増員は望めないといっても過言ではないだろう。

Jin-machine

Jin-machine

◆トークスキル
ライブにおいて、演奏の上手さが観客を惹きつける要因となるのは当然のことなので省略するが、それ以外に、MCでのトーク力も大事なポイントだ。

バンドやライブのコンセプトによっては、MCを行なうことなくライブが進行することもあるので、そもそもMCがなければいけない、無論、それが面白くなければいけないということもない。だが、対バンライブでMCを挟んでからガラッと空気の変わることは多々ある。トークがバンドファンの垣根を越え、一体感へと繋げ、バンドに興味をもたらすきっかけになることは大いにありうるのだ。

ステージングにおいてトーク力も強みとして活かしているバンドの台頭も目立つ。その象徴として、“ノンスタ界隈”という言葉の定着がある。人気バンドの集うイベントツアーとして名高い『stylish wave CIRCUIT』。そこへのリスペクトも込め、<Jin-machine><マイナス人生オーケストラ><TЯicKY>らが中心となり開催されているツアー『non stylish wave CIRCUIT』は今や毎年恒例のイベントとなっている。トークで笑いに包んだりと、エンターテイメント性の高いステージングで観客を笑顔にするバンドが集結。そのツアーに頻繁に参加しているバンドの総称を”ノンスタ界隈”と呼んでいる。ツアーへの参加バンド数、ライブ本数の増加を見ても、このタイプのステージングの人気の高さを伺える。しかし、そこには各バンド『面白いのに○○』と言わしめるだけの高い音楽性が備っているからこそ成り立つことを忘れてはならない。筆頭となっている3バンドは依然として高い人気を誇り、今年もますます伸びを見せるだろう。

UCHUSENTAI:NOIZ

UCHUSENTAI:NOIZ

◇ファン力
ファンはバンドを映す鏡と言うように、どんなに音楽が素晴らしくても、ファンのマナーが悪かったりと、好ましくない場面を目にすれば、残念なことにバンドに対する評価も落ち兼ねない。

[2015年注目バンド] UCHUSENTAI:NOIZ
開演を告げるように場内が暗転すると、近隣同士「宜しくお願いします!」と挨拶から始まる。『HIGH FIVE』では、モッシュを繰り返し、ランダムに巡り合った観客同士、リズムに合わせて両手の手のひら合わせて叩く、そしてまたモッシュへ戻る、というのを繰り返す。平和維持活動と呼ばれるライブでは、その他にも多くの曲で入り乱れるモッシュが行なわれるが、割り込みなどといった心配事とは無縁で、終始、多幸感に包まれた空間がそこには広がっている。その幸せの連鎖に観客が引き込まれていくようだ。メンバー自身、フィリピンへ足を運び慈善活動を行なうなど、そうした精神もファンに受け継がれているのだろう。ファンの満足度が高いだけでなく、大変マナーもいいことなどから、バンドにとってもファンの存在は誇り高いものに違いない。活動歴の長いバンドだが、現在も精力的にくまなく各地方でライブ活動を行なっており、2015年もその伸びしろにまだまだ期待が掛かる。

以上より「容姿の良さはバンドの人気や勢いに繋がらないの?」と問われるかもしれない。容姿のいいことに越したことはないし、容姿の美しいメンバーが人気を得ていることは確か。だが、それは必ずしも絶対条件ではないと思っている。音楽的魅力はもちろん、観客はきちんと上記に挙げたようなバンドの言動、人間の中身なども考慮して総体的にバンドを判断している場合が多い。そこで何か光るものが見出されれば、それは自然と美しさとしてファンによって見出されるだろう。そして、何よりヴィジュアル系バンドだ。最終的に彼らにはお化粧という武器があるのだ。


NOCTURAL BLOODLUST

NOCTURAL BLOODLUST

2015年のシーンの傾向

見た目や音楽性の馴染みやすさから、依然として若い層を中心にキラキラ系が人気を博しているが、昨年の<アルルカン><NOCTURAL BLOODLUST>の急成長、<My BACTERIA HEAT IsLAND><黒百合と影><Gosship-ゴシップ->の始動、活躍などに見られるように、2014年はコテ系や骨のあるロックサウンドの台頭も目立った。キラキラ系の飽和状態もあり、その流れが2015年はより際立ってくると予想できる。また、昨年は脱退や解散の多い年でもあった。そのバンドマンたちの新境地での音楽活動の再開を望めるとしたら、どんな形で蘇りを見せてくれるかも今年は楽しみだ。
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