原点に帰れる作品
『人間になりたがった猫』

――これまで演じてきて特に思い入れが強い作品や役は何でしょう?

上川さん

(撮影:演劇ガイド・上村由紀子)


上川

人間になりたがった猫』は初舞台を踏ませて頂いた作品という事もあり、後に主役のライオネルをやらせて頂いた時は凄く嬉しかったです。

実はライオネル役のオーディションの前日に島根の家族から祖父の危篤の知らせが入ったんです。いろいろと葛藤したのですが、その時に”今、帰っちゃいけない”と強く思い、オーディションを受ける道を選びました。その後病室に向かい、意識がない状態ではありましたが祖父に会う事も出来て、病院にいる時に劇団から合格の知らせを受けました。

そういう意味でも『人間になりたがった猫』は僕の原点でもある作品で、何かあった時はあの時の気持ちに帰るようにしています。大切な作品ですね。

稽古場では革靴着用
「ロイヤル感」を意識した『リトルマーメイド』


――『リトルマーメイド』のエリックや『ウィキッド』のフィエロは”王子様”という設定ですが、ご自身の中に”王子様モード”はありますか?

上川

いやいや(笑顔)、僕自身は全然王子様キャラじゃないですね(笑)。ん?王子様……王子様って何なんだろう?……位の感じで。『ウィキッド』のフィエロはそこまで王子様色が強くはなかったのでその点に強くアプローチする事はなかったのですが、『リトルマーメイド』のエリックは本当に「王子様」じゃないですか。

リトル

『リトルマーメイド』(撮影:下坂敦俊)


エリックをやらせて頂くことが決まった時に、稽古場でディズニー側のスタッフから”ロイヤル感”を意識するようにと何度も言われました(笑顔)。例えば稽古初めでまず「ダンスシューズはNG」と言われ、稽古中は基本革靴を履くようにしていましたし、ジャージも駄目。きちんとした服装をし、稽古場にいる時から王子と言う事を常に意識するようにしていました。

それで時に「大変だなぁ」って思ったりもしたのですが、ある時「ああ、エリックもきっとそうだったんだな、だから海に出たんだな」……と。こういう感覚がエリック役と自分とを繋げる際の1つのヒントになったと思います。

――上川さんは普段から”役”を引きずるタイプですか?それとも劇場を出たらすぐ切り替えられる方?

上川

かなり引きずる方ですね。ライオネル(『人間になりたがった猫』)の時には動作が猫っぽくなってしまいますし、ユタ(『ユタと不思議な仲間たち』)の時は姿勢が悪くなって、いつもうつむいているような感じでした。意識的にそうしている訳ではないのですが、気が付いたらそうなっているという感じでしょうか。それを自覚すると、役と自分がリンク出来ている様な気がしてかえってほっとします(笑)。

上川さん

(撮影:演劇ガイド・上村由紀子)


――これまでストレートプレイへの出演経験はありませんが、今後はいかがでしょう?

上川

是非やらせて頂きたいです。台詞と演技のみで伝えていくストレートプレイに出させて頂くことで、自分自身大きな勉強が出来ると思いますし、芝居を深めていけたら嬉しいですね。その時は敢えてなるべく難しい役に挑戦したいと思います。

――毎日お稽古と舞台とでお忙しいと思いますが、どうリフレッシュされていますか?

上川

僕、走るのが好きなんです。ジョギングが趣味ですね。距離とか時間はそんなに意識していないのですが、「汗をかき足りない」って思った時に走ります。仕事場が主に劇場内ですので、外の空気を吸ったり、太陽の光を浴びたりすることが気分転換とリフレッシュになっているのかな、と……光合成みたいなものです(笑)。大体オフの日は午前中にパーッと走って、午後は寝ることでエネルギーのチャージをしています。

――最後になりましたが、『劇団四季FESTIVAL! 扉の向こうへ』をご覧になった方、これからご覧になる方にメッセージをお願いします。

上川

劇団四季FESTIVAL! 扉の向こうへ』は、劇団四季のレパートリー作品の中から特に代表的だったり人気の高いナンバーをセレクトして構成していますので、1曲1曲の持つエネルギーも大きいですし、たくさんの方に楽しんで頂ける作品になっていると思います。舞台装置や照明、衣裳など見どころも多く、ご覧頂く度に新しい発見をして頂けるのではないでしょうか。出演者一同、構成・振付・演出の加藤敬二の下(もと)、お客様に歌やダンスの持つメッセージをお伝えできるよう日々頑張っておりますので是非劇場にお越し下さい。お待ちしています!

上川さん

(撮影:演劇ガイド・上村由紀子)


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『劇団四季FESTIVAL! 扉の向こうへ』にヴォーカルパートでご出演中の上川一哉さんに、マチネの終演後お話を伺いました。

インタビューをする中で特に感じたのは「素直でありながら芯の強さ」を持った俳優さんだな、という事。誠実に言葉を選びつつ、時に話が脱線した時の笑顔がとても魅力的でした。インタビューの中でもお話頂きましたが、上川さんの強みの1つがファミリーミュージカルやアンサンブルの経験をしっかり積まれている事だと思います。子どもたちの素直な反応に鍛えられ、作品を多面的に捉えて来た事が今の彼の輝きに繋がっているのではないでしょうか。

四季フェスではヴォーカルパートでのご出演ですが、ダンスシーンで見せるキレのいいダンスや「ラブ・チェンジズ・エブリシング」(『アスペクツ・オブ・ラブ』)での大人っぽい佇まいも要チェックです!

劇団四季FESTIVAL! 扉の向こうへ
電通四季劇場[海]で2月1日(日)まで上演中
劇団四季公式HP

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