燃費がよい暖房器具
薪ストーブのようにどっしりして煙突もある本格的なロケットストーブ
このストーブの製作者、京丹後市で織物業を営む宇野勝さんによると、ロケットストーブは、薪ストーブよりも優れた熱効率を発揮するそうです。一般的な薪ストーブの熱効率は30%程度で残り70%は煙突などから逃げていくのに対し、ロケットストーブの熱効率は70~80%。燃費は3~4倍あり、その分燃料が少なくてすむので、とてもエコなストーブということです。
価格もリーズナブル
また、煙突が簡易な仕様ですむこともあり、本格的なものでも比較的安価に導入することができます。参考ですが、薪ストーブが設備費施工費込で100万円~程度かかるとしたら、ロケットストーブはその1/3~1/2程度ですむとのこと。この事に加え、前ページでご紹介したように、身近に森林資源が豊富な地域に住んでいたり、燃料を入手しやすい人にとっては、その後の燃料費も安くすむということになり、より導入のメリットが大きくなると言えるでしょう。
ただし、もし現代の住宅でこのストーブを暖房用に使用する場合は、防火安全面と給排気の方法などに注意が必要です。ロケットストーブはとても高温になるため、周囲の壁や床を燃えない仕様にし、可燃物は近くに置かないなど配慮が必要です。また、燃え続けるために室内側から空気を給気しつづけなければならず、ストーブに必要な空気を外気から取り込むなんらかの方法を検討する必要があります。
地域の活性化への期待
京丹後市の地域活性化を望み織物工場の一角で日々ロケットストーブ開発を続ける宇野勝さん
ロケットストーブは必要最低限の設備があれば、町の小さな鉄工所でも製作が可能とのこと。今回お話を伺った宇野さんは、ロケットストーブの製作・販売を通して全国各地での町おこし、雇用促進を願っており、希望する人にノウハウを伝授しています。
災害時に役立つ
勢いよく燃えるロケットストーブ。炎を見ているだけで心地よい。
従って、万が一の災害時にライフラインが途絶えても、ロケットストーブがあれば、ご近所の方がそこに集まって暖をとったり食事をしたりと、一時避難所的な役割を果たすこともできるでしょう。また、簡易タイプなら避難場所に持って行くこともできます。
ロケットストーブはその構造原理により本体が800度程度まで非常に高温になり、少ない燃料で、力強くかつ輻射熱による心地よい暖かさが得られます。鋼鉄製であれば長持ちし、前面にガラス窓のついたタイプであれば、薪ストーブのように炎がよく見えて、癒し効果もあります。開発の余地があり、ロケットストーブはたくさんの可能性を秘めています。
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