阪神淡路大震災や東日本大震災ではライフラインがストップし、電気やガスが必要な暖房器具や調理器具は一切使えなくなりました。そんなこともあり、東日本大震災以降、電気やガスがなくても使用できるロケットストーブは、万が一の災害時でも使えるストーブとして注目されるようになりました。
ロケットストーブとは?
昔から煮炊きに使われてきたかまど。
ロケットストーブとは、昔から家屋の土間などで煮炊きに使われてきた「かまど」を原型とした暖房器具で、化石燃料は使わず、薪や木片など、身近にある木質バイオマスを燃料とするストーブです。非常に高温になるため、暖を取るだけでなくその熱を利用して料理もできます。
簡易タイプなら手軽に自作することもできるため、ペール缶などを使って自分でつくるワークショップなども開催されています。
種類と用途
ペール缶でつくった簡易型の例。手前はペール缶を二つ重ねた2段構成のもので、1段よりよく燃える
鋳鉄(ちゅうてつ)製で煙突があり、まるで薪ストーブのような本格的なもの、ドラム缶やペール缶を利用した持ち運び可能な簡易的なもの、コンクリートやレンガや石を使って庭に設置するものなど、ロケットストーブにはカタチも材質も用途も、さまざまなバリエーションがあります。
その中でもペール缶などを利用した簡易型のものは、万が一の災害時でも、必要な場所に持ち出して使うことができます。また、庭やキャンプ場などに持ち出して、暖を取ったり簡単な料理を楽しむこともできます。
簡易型ロケットストーブの材料と寿命
ガイドが手ほどきを受けながら作成した簡易型ロケットストーブ
例えば
こちらの記事でご紹介したペール缶1段のものを作るときに必要な材料は、ペール缶(20リットル)1缶、ステンレス鋼管(120φ、半直、T字型、エビ曲90度)、パーライト(土壌改良材)、耐熱アルミテープなど。これらの材料はホームセンターや通販などで入手可能で、合計で材料費は数千円程度です。ペール缶はガソリンスタンドや自動車整備工場などで頼んで入手することもできるようです。
作成の過程でドリルや金切ばさみを使うので、持っている人、使い慣れた人以外は、材料や道具を準備してくれるワークショップなどに参加することをお勧めします。作成にかかる時間は1時間程度、材料費も安く、お手軽に作れることが魅力的な簡易型ロケットストーブですが、寿命はあまり長くはなく、使用方法や頻度によりますが、1回に2~3時間の使用で10回程度使えるくらいではないかと思います。
身近なものを燃料に使える
ロケットストーブの燃料は薪や小枝などの木質バイオマス
簡易型でも本格的なものでも、ロケットストーブの燃料は身近にあるものです。自然の中にある木、木くず、小枝、枯葉、竹、松ぼっくり、段ボールや廃材などが燃料になります。もし、それらのものが身の回りで入手することができるなら、燃料費はゼロになります。また、こういった燃料は非常時でも比較的入手しやすいと言えます。
以上のような特徴が、
万が一の災害時にも役に立つストーブとしてロケットストーブが震災以降注目されるようになった理由です。手作りもできますが、小型でシンプルなものも市販されています。
次に、簡易型ではなく
広い空間の暖房を目的とした本格的なロケットストーブについて見てみましょう。