インターンシッププロセスの設計に必要な視点
インターンシップを人材発掘の機会として効果的に機能させるためには、そのプロセス全体を包括的にマネジメントする必要がある。以下にプロセスの全体像と項目ごとのポイントを示したい。1. 募集・選考
- 募集ターゲットの目に触れる機会が多い媒体を選別する。ターゲット校での掲示や学生団体サイト、特定の学部生が登録する就活コミュニティサイトやfacebookなどが有効。
- 告知内容は、学生のセルフスクリーニングを促すためにRJP(*)に則り、プログラムの厳しさについても示すことが肝要。
- 選考については、志望動機よりもインターンシップにおける各自のゴールイメージを具体的に確認し、自社のプログラムとの整合性を確認する。
2. プレトレーニング
- プログラムの立ち上がりをスムースにするために、社会人に求められる思考・行動様式についての理解を図る機会を設ける。特に、“合目的性(逆算思考)”や“加点思考”については大学生活では習得しにくい要素なので、グループワークを行うなどの理解を深める工夫が必要。
- 併せて、プログラムを通し成長への期待も明確に伝え、あらためて目的意識の醸成を図る。
- さらに、プログラムを通し成長への期待も明確に伝え、あらためて目的意識の醸成を図る。
- 期間は2週間から1ヵ月程度を基本とし、各個人(またはグループ)は自主的に情報収集やディスカッションを行う。この間、メンターがつき、週1-2回の頻度で進捗状況やレベル感に合わせてサポートする
- テーマは社内の複数の関係者とのコミュニケーションが取れる内容がベター。
- 自社に求められるコンピテンシーを抽出し、選考時 及び プレトレーニング時に評価を行う。
- プログラムの途中と終了時にメンターを中心に複数名で個別面談を行い、その伸長度を確認する。特に、成長の源泉となる洞察力や感性、状況適応力については、期待レベルを予め明確にしたうえで慎重に評価する。
- 評価については本人にフィードバックする。個々の強みを活かした自社でのキャリアの可能性についても具体的に説明し、自社への応募動機を形成する。
- インターンシップ期間中、プログラムで関わる全ての社員が折に触れて自社の魅力を自分の言葉で明確に伝える。強みだけでなく弱点やその改善策も含めて伝える。
- オフタイムにさまざまな部門の社員と触れ合えるイベントを企画し、多くの社員との交流機会を持つ。オン、オフ両面で会社の良いカルチャーイメージを形成が重要。
- インターンシップ参加者同士が情報交換する場を設け、それぞれのテーマから会社についての立体的な理解を促す。
優秀な人材の獲得は全社の課題
インターンシップの実施は決して楽な仕事ではない。事前の準備から受入れ期間中のサポートに至るまで、関係者の負荷は相当なものになる。それゆえ、単なる社会貢献と捉えると割に合わない仕事と感じてしまうが、通常の採用選考では見抜くことが難しい優秀者を発掘できる貴重な機会だと考えれば、労を惜しむ理由はない。インターンシップのマーケットが活況な今こそ、優秀な人材を確保するための手段となるプロセスを再構築すべきである。