第3位 寺
今年はまた「寺」が来る。具体的に話題となるのは、7年に一度の御開帳を迎える「善光寺」(長野県)や開創1200年大法会が催される「高野山」(和歌山県)の金剛峰寺だ。昨年までの伊勢神宮や出雲大社ブームではないが、年々増えている「願を掛けたい」多くの消費者が足を運ぶだろう。
高野山の1200年に合わせて、同時にブームが来るのが「四国」。若い方もお遍路(四国八十八ヶ所)に興味を示す年になるだろう。ご存じのとおりお遍路を満願成就したら真言宗の本山、高野山に御礼参りをする。四国と高野山のセットでの人気が来るのが2015年だ。社寺に併設された「宿坊」もあらためて注目されるだろう。
第2位 TOMARERU
最近注目され始めたのが、遊休資産(自宅等の空き部屋)を、旅行者に貸し出すAirbnb(エアビーエンビー)。米国発で世界を席巻し、日本にも入ってきた。そして、TOMARERUという日本発のサイトもできた。政府では特区を作り、旅館業法に抵触することなく、所有者と利用者が直接契約をして主に外国人旅行者の宿泊先として貸し出す制度を決めた。
旅館業界は猛反対しているが、私はこの仕組みは日本ではそれほど根づかないのではないかと思う。利用者はいても、供給がそう簡単ではないと思うからだ。皆さんなら、空き部屋、空き家を見ず知らずの方に貸し出しますか。空き家の税制改革(税金が増える予定)があるものの、それなら売却か賃貸に出してしまうのではないだろうか。
ただし、この仕組みが日本流に発展する可能性がある。それは、たんまり空いている平日の旅館の空き部屋を登録すればよいからだ。旅館名を特定せずに地域で“run of the house”(適当に割当て)としてもよい。もちろん、食事は付かないが、現地で頼むことは可能。おそらく、将来的に、旅館は1泊2食と部屋貸し(素泊まり)のダブルスタンダードになっていくだろう。
第1位 旅館の新設・高級化が進む
そして、2015年の第一位は「旅館の高級化」だ。絶景も一層極められる。これは新設も改装も含む。2014年は建築費が高かったために、新設・改装は抑制気味だった。2015年は耐震促進法における耐震診断の期限という事情もある。耐震補強するなら建て替えてしまおうという宿もあるだろう。この機会に「二個一(2部屋を1部屋にする)」にしようという宿も出る。
昨年、ブームになった絶景を確保できる宿は、どんどん「インフィニティ露天風呂」(湯面が景色とつながった風呂)を造るだろう。それに伴い、雑誌でも温泉特集(できれば旅館特集にして欲しいのだが)も増えると思われる。
地方創生元年に合わせ、国内観光は活性化する。そのひとつの要因が、旅館の新設・改装になる。ただし、これからはキュレーションメディアで取り上げられるような「コンセプチャル」な宿でないと目立たない。さあ、どんな宿ができるのか。皆さんも楽しみにしていて欲しい。
ちなみに、「2014年日本の宿ヒット予測」で予測したことはこんなことだった。