長谷川達也さん。
クラシック音楽を使い、身体だけで魅せる。
DAZZLEが挑む新境地『バラーレ』
最近、注目しているダンスカンパニーのひとつがDAZZLE。ストリートダンスとコンテンポラリーダンスを融合したような、独自のダンススタイルを持ち、物語性が強いのが特徴です。ダンス作品というと、音楽と踊りというのが一般的ですが、DAZZLEの作品では文字で台詞や情景描写がなされることが多く、字幕付きの映画を観る感覚でダンス作品を楽しめるんですね。とかく難解と言われがちなダンス作品ですが、DAZZLEの場合、物語がある分、直接的に響いてくる。新しいエンタメの形を完成させたといえるでしょう。
そのDAZZLEが歌舞伎役者・坂東玉三郎さんの演出で新作を発表すると聞いて、驚き、喜び、そして納得!いや、勝手な思い込みかもしれませんが、DAZZLEの情緒感、クールさ、端整さと玉三郎さんはピッタリな気がしたんです。玉三郎さんのアンテナに触れるのもわかるなあ、と。
そこで、DAZZLE主宰で振付を担当する長谷川達也さんに、玉三郎さんが演出を手掛ける経緯やと新作『バラーレ』、振付のアイディアソースや子供時代について伺いました。
玉三郎さんの演出は大きな刺激。
DAZZLEの新しい挑戦が始まる
——そもそも坂東玉三郎さんとの出会いはいつでしたか。坂東玉三郎さんと始めてお会いしたのは、新潟県佐渡市で開催された『アース・セレブレーション2014』の打ち合わせに佐渡へ赴いたときでした。玉三郎さんが芸術監督をしていらっしゃる太鼓集団・鼓童の演奏でDAZZLEが一緒に踊らせてもらえることになって、そこでご挨拶したのが最初です。その後、DAZZLEのことを知ってもらえるようにと思い、DAZZLEの作品DVDをお渡ししたところ、すぐに観てくださって。しかも「他にも作品があるなら、全て観たいから持ってきてください」とまで言ってくださったんです。
それだけでも感激だったのですが、何か玉三郎さんの中でひらめきがあったようで、DAZZLEとストラヴィンスキーの「春の祭典」が結びついたとのことでした。「クラシックで踊ることに興味ある?」と聞かれ、「もちろん」とお答えしたところから、この『バラーレ』が始まったんですね。
——初めて『バラーレ』の企画を伺った時、とても納得したんです。DAZZLEの端整な雰囲気は、玉三郎さんと通じるものがあるな、と。
でもまさか、ストリートダンスから派生した僕たちDAZZLEが玉三郎さんの感覚に触れるとは思ってもみなかったので、非常に驚きました。しかも「歌舞伎だって元々はストリートだった」とのお話も印象深く、伝統を重んじながらも違った文化やスタイルを受け入れて下さる懐の深さを感じました。