日帰り可能! ダブリン近郊でアクセス良好なのが魅力
車窓に突如あらわれる古城はアイルランドらしい風景のひとつ
緑の中に点在する美しい古城。アイルランド旅行の際には車窓からそんな風景をみかけることがあるかもしれません。でも、せっかくなら遠くから眺めるだけでなく、お城の中に入って細部までじっくり眺めてみたいと思いませんか?おすすめは、ダブリン郊外にあり、バス一本で気軽にアクセスできるマラハイドキャッスル。お城とはいっても比較的コンパクトなつくりで、貴重な調度品をはじめ、当時の時代背景の分かるユニークな品々まで、小さなお城にギュッとつまっています。お城在駐のガイドさんによるツアーでお城をじっくり見てまわることができるうえに、お城の敷地をゆっくり散策しても、半日でシティセンターまで戻ってこられるというのも魅力のひとつといえるでしょう。
それではマラハイドキャッスルの見どころをご紹介いたします。
このお城に住んだタルボット家とは?
両サイドの塔が印象的なマラハイドキャッスル
マラハイドキャッスルには、もともとはイギリスの騎士だったタルボット家という一族が800年にわたって住んでいました。カトリック教徒だったためにクロムウェルの侵攻により一時期お城を没収されたり、ボイン川の戦いではイギリス側ではなく、ジェームス二世率いるアイルランド側として闘い、一族の多くがこの戦いで命を落とすなど、アイルランドが見舞われた波乱とともに生きた一族ということができるかもしれません。そんな一族の肖像画はお城のあちこちに飾られていて、とくにお城内部・ダイニングルームにあるボイン川の戦いを描いた大きな絵は最大の見どころのひとつといえるでしょう。ちなみに、絵の中に描かれているタルボット家の人たちはこの戦いに出る前もこのダイニングルームで朝食をとったといわれています。
当時の暮らしと時代背景を語る品々に注目!
お城の中を通らなくても仕事ができるようにとつくられた会計士専用の入り口
黄色い大理石でつくられた暖炉やピエトロ・ボッシが手がけた修復方法がわからない技術でつくられたテーブルなど、マラハイドキャッスルには「お城」と聞いて思い浮かべるような豪華な品々がたくさんあるのですが、そのほかに注目してほしいのは、当時の時代背景や慣習が見え隠れするユニークな品々。たとえば椅子に座った際に顔が隠れるくらいの高さになる織物のスクリーン。当時は女性のお化粧にワックスを主原料にした白く厚いファンデーションを使っていたということで、このスクリーンで顔にあたる熱を遮断することでワックスがとけず、メイクを長時間キープしていたのだそう。
また、ユニークな形の長椅子の両サイドには特別に女性のためのスペースが設けられており、未婚の女性が1人で男性の隣に座ってはならなかったという当時の社交界のルールを物語る貴重な調度品のひとつになっています。
またツアーガイドさんのコメントに一堂驚いたのが「チェンバ−ポット」と呼ばれる木製の樽。こちらはなんと、室内用おまるとのこと。でも当時の時代を考えれば、お城とはいえこんな暮らしが当たり前だったのですよね。
また、ウソか真か、このお城には「PUCK」、またの名をフレンドリーゴーストという陽気な妖精が住んでいたともいわれ、この妖精用の小さな勝手戸があったりと、ユニークなアイリッシュスピリットも垣間みられます。最後のタルボット卿が亡くなったいま、現在では国がお城を管理しているといいます。タルボット卿の妹さんは健在海外に住んでおり、税金などの関係でお城を手放したものの、アイルランドに戻ってきた際にはいつもでこのお城で食事をとることができるという取り決めがなされているのだとか。こんなあたたかで粋なはからいも、アイルランドらしい部分ですね。
最後のタルボット卿による未完成の庭
タルボット卿の庭の一部
お城の内部だけでなく、それぞれのコーナーにどことなくテーマの感じられるお庭もマラハイドキャッスルの見どころのひとつなのですが、あるエリアに差しかかると、そのほかのお庭とは異なり、少し余白が目立つように感じるかもしれません。これは最後のタルボット卿がお庭を完成させる前になくなってしまったことから、このような形のまま保管しているといいます。
カフェのそばに庭から孔雀がやってくることも
お城のそばにはカフェもあり、タルボット卿の庭を眺めながらティータイムを楽しめます。お城の見学の余韻にひたりながらゆっくりお茶をするのもおすすめですよ。
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■Malahide Castle
営業時間:4月~10月9:30~16:30、11月~3月9:30~15:30
休館日:なし
入場料:大人12ユーロ、子ども6ユーロ(見学はガイドツアーのみ)
アクセス:ダブリンバス42番または32番でアクセス可能。お城のある公園近くで下車でき、そこから公園内歩行者専用道を通って徒歩で5分以内