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ハイブリッド証券ファンドの純資産残高増加中

古くは2009年から設定されているハイブリッド証券を投資対象とした投資信託。2013年後半から純資産残高を増加させ、2014年11月まで15ヵ月連続で過去最高額を更新しています。ハイブリッド証券ファンドとはどんな投資信託なのかも含め、その動向を探ってみることにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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ハイブリッド証券とは

ハイブリッド証券を一言で現せば、株式と債券両方の特徴を併せ持つ有価証券になります。たとえば、優先株のように株式なのに議決権を有していない、永久債のように負債であるにもかかわらず返済期間が定められていない、発行体が債務不履行に陥ったときの返済順位が通常の債券より劣る劣後債、残余財産の優先分配権を有する優先出資証券などがハイブリッド証券にあたります。

その特徴は、さまざまな制約がある(=投資家が負うリスクがある)ことから、一般的な債券よりも利率(利回り)が高いことがあげられます。世界的に低金利が蔓延していることから、少しでも高い有価証券を求めた(イールドハンティング)結果、新たな高利回り有価証券としてハイブリッド債が注目されたわけです。

加えて、ハイブリッド証券の発行が世界的に急増していることも追い風となっています。その背景は、金融機関のBIS規制(バーゼル規制)により国際的に重要とされる大きな金融機関には、金融危機の再発を防止できるだけの自己資本の増強などの強固な資本基盤を整備することが求められています。ハイブリッド証券は自己資本に組み入れることが可能であることから、世界的に金融機関の発行が急増しているのです。

これらのハイブリッド証券を投資対象とした投資信託が「ハイブリッド証券ファンド(投資信託)」になります。商品名には「ハイブリッド」「優先証券」「金融機関債券」のほか、「CoCo債」などと一見しただけではどんな債券なのかわからない名称が入っている投資信託もあります。

単位型、限定追加型が多い点には注意

ハイブリッド証券ファンド、2014年に入り100本近くが新規設定され、また純資産総額は1兆6000億円を超えています(2014年11月末)。1つのカテゴリーとして認知されたと言っても過言ではありませんが、そのほとんどが単位型、または限定追加型の投資信託なのです。

「単位型」とは、運用が開始されてから購入することはできず、当初募集期間内しか購入することはできない投資信託で、運用期間(信託期間)が決まっているタイプになります。「限定追加型」とは、当初募集期間が終わった後、言い換えれば運用が開始された後も一定期間であれば購入することができる投資信託ですが、単位型同様に運用期間が決まっています。

一般的な投資信託であれば、運用が開始された後もいつでも購入でき、運用期間も10年や無期限など長期運用に適した「追加型」の投資信託が多いのですが、ハイブリッド証券ファンドの場合、先に述べたBIS規制による自己資本を整備する要件を強化したことが、単位型や限定追加型が主流になっている要因と考えられるのです。

BIS規制において、発行当初こそ自己資本に組み入れることができたハイブリッド証券を入れることができなくなったり、組み入れ割合を減らしたりするなどの規制を強化した結果、過去に発行されたハイブリッド証券が満期を待たずに繰り上げ償還になる可能性が高まったために、運用期間が決まっている単位型や限定追加型となっているのです。運用期間は3年~5年が多いようです。

主流は単位型、限定追加型であることから、ハイブリッド証券ファンド全体では、1兆6000億円もの純資産総額となっていますが、最も多額のもので大和住銀投信投資顧問が運用する「グローバル高格付優先証券ファンド(為替ヘッジあり)」の572億円に過ぎません(2014年12月24日現在)。

1つの投資カテゴリーに育ちつつあるハイブリッド証券ファンド。とは言え、投資対象である有価証券の種類によってリスク・リターンが異なります。また、単位型、限定追加型が主流であることから、投資する際にはしっかり商品内容を理解したうえで投資しましょう。
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