美都市・セゴビアの歴史
セゴビア大聖堂の北ファサード(正面)。ゴシックといってもフランスやドイツのものほどトゲトゲしくはなく、重厚な造り
個人的に大好きなサン・エステバン教会。フィレンツェのジョットの鐘楼を彷彿させるバロック様式の塔がまた美しい
その後、8世紀にウマイヤ朝(アラブ帝国)がイベリア半島を侵略すると、街とローマ水道橋の一部が破壊されてしまう。11世紀にカスティリャ王国がセゴビアを征服すると、地方を取り仕切る司教座(カテドラ)が置かれ、大聖堂(カテドラル)が設置されて主要都市として発展。城壁等も修復された。
こちらはサン・アンドレス教会
1474年にはアルカサルで女王イザベルの戴冠式が行われた。そのイザベルがアラゴン王子フェルナンドと結婚して誕生した連合王国がスペインだ。スペインは1492年にコロンブスを大西洋に旅立たせ、これをきっかけにヨーロッパ、アメリカ、アジアに至る「太陽が沈まぬ帝国」を築く。
1561年にスペイン国王フェリペ2世が王宮をマドリードに建設すると、アルカサルの王宮としての役割は終わり、城砦や牢獄として使用される。1762年、カルロス3世がアルカサルに王立の砲兵学校を設立。1898年には軍事博物館が設けられ、平和的に利用されるようになった。
歴史都市セゴビアの見所
アルカサルからの眺め。中央に建つのがラ・ベラ・クルス教会 ©YOSHIHIRO TAKADA/a.collectionRF/amanaimages
■水道橋
18km先のフリオ川から水を運んだローマ時代の水道橋で、2万個以上の花崗岩で造られている。イスラム教徒による破壊などもあったが、女王イザベルをはじめ時の王たちがこれを修復し、大事に伝えられた。現在も水道管の中を水が流れている。
■セゴビア大聖堂
セゴビア大聖堂の身廊。天は明るく、光に満ちており、その下でステンドグラスが聖書の物語を伝えている
■アルカサル
紀元前の時代、ケルト人の砦に起源を持つ城砦兼王宮。長きにわたって増改築を繰り返したため建築様式が混在しており、たとえば塔はイスラム教のモスクの塔・ミナレットの影響を受けたムデハル様式となっている。内部は公開されていて、王の間、諸王の間、王の寝室、砲兵学校博物館、フアン2世の塔などが見学できる。
■ラ・ベラ・クルス教会
ラ・ベラ・クルス教会。イエスが処刑されたときに磔にされた十字架の聖遺物が収められているという ©Karsol Dreamstime.com
■その他の教会群
セゴビアには11世紀以降に建てられたさまざまな教会がある。レンガ造りの塔とシンプルな円柱型が美しいサン・アンドレス教会、ロマネスク様式の重厚感が魅力のサン・マルティン教会やサン・クレメンテ教会、「塔の女王」といわれる美しい塔を持つサン・エステバン教会、市街の外にたたずむサンタ・マリア・デル・パラル修道院など、見所多数。
■広場
教会を建てる際、周囲に必ず広場を置いた。そのため歴史ある広場が多く、周囲と調和した姿が美しい。セゴビアで有名な広場といえば、水道橋のあるアソゲホ広場と大聖堂近くのマヨール広場。でも、何げない広場が印象的だったりするので、小さな広場にも足を伸ばしてほしい。
■家並み
一軒一軒の家々がとても味わい深い
■メソン・デ・カンディド
セゴビアの名物コチニージョ・アサド(子豚の丸焼き)が味わえる名店。水道橋に面したアソゲド広場の一角にある。