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ピアスで耳がちぎれた・裂けた……切れ耳・外傷性耳垂裂の治療と原因

【皮膚外科医が解説】耳垂裂(じすいれつ)は、生まれつき耳たぶが割れている「先天性耳垂裂」と、ピアスやケガなどで耳たぶがちぎれる「後天性耳垂裂」があります。後天性耳垂裂で最も多いのはピアスが原因で耳が裂けてしまったものです。ピアスによる耳垂裂の原因・治療法について解説します。

野田 真喜

執筆者:野田 真喜

皮膚外科医 / 皮膚外科ガイド

耳垂裂(じすいれつ)とは……「先天性耳垂裂」と「後天性耳垂裂」

ピアスで耳がちぎれた・裂けた 切れ耳・外傷性耳垂裂の原因

先天性耳垂裂

耳垂裂(じすいれつ)は生まれつき耳たぶが割れている場合(先天性耳垂裂)と、ピアスやケガなどで耳たぶが切れた場合(後天性耳垂裂)があります。後天性の耳垂裂で特に多いのが、ピアスが原因によるものです。

<目次>
 

ピアスで耳がちぎれた・裂けた……切れ耳・外傷性耳垂裂の原因

ピアスによる後天性耳垂裂

ピアスによる後天性耳垂裂

ピアス穴が重力の方向に徐々に伸びてしまうことで、穴が細長く変形したり、ついには切れてしまうのですが、以下のような場合に多く認めます。
 
  • 金属アレルギーがある
  • ピアス穴がジクジクすることを繰り返している
  • 耳たぶの縁ぎりぎりに穴をあけている
  • 大きいピアス、重いピアス、または、ぶら下がりタイプのピアスを頻用している
  • ピアスをほとんどはずすことがなく、寝る時までずっとつけ続けている
  • 耳たぶが厚く、ピアスのヘッドやキャッチが皮膚に食い込んだ状態になっている

洋服を脱ぐときや髪の毛を洗っているときなどに引っ掛けて一気に切れてしまう場合もありますが、たいていは日から年の単位でゆっくりと裂けていきます。ほんの少しずつ裂けていくので痛みや出血はなく、ある日「ピアスが落ちて気がついた」「ピアスをつけようとしたら切れていた」といった感じです。
 

ピアスで裂けた耳・耳垂裂の治療法

一度切れてしまった部分は、残念ながらそのままにしていても元通りくっつくことはありません。ゆっくりゆっくりと切れていくために、裂け目に皮膚が出来上がってしまっているからです。

患者さんの中には、切れた直後に救急外来で縫合を受けたという方もいらっしゃいましたが、単なる縫合では同様の理由で皮膚はくっつきません。ですから見た目が気になる場合は手術が必要になります。逆に見た目が気にならなければ治療をしなくてよい訳ですが、就職(活動)・結婚などを期に手術をされる方や、家族や友人に指摘された、子供に心配されたなどの理由で手術をされる方も多くいらっしゃいます。

治療は日帰り局所麻酔の手術で、手術時間は1カ所10~15分程度です。手術の方法は大きく分けて以下の3つになります。

1. 直線法
裂けた部分に沿って皮膚を切り、再び縫い合わせる方法です。最も単純で短時間で終了しますが、最大の欠点は時間の経過とともに傷跡が縮み、耳たぶの縁がお尻の様にくびれてしまうことです。最終的な仕上がりが悪く、ほとんど行われません。

2. Z形成術
Z形成術とはZ字型に切開を加えることから名付けられていますが、形成外科では頻繁に用いる形成術の一つです。引きつれが起きないので、耳たぶの縁にくびれが出来ません。しかし裂け方によっては正確に合わせることが難しいこと、立体的な歪みが起きるなどの欠点もあります。

3. W形成術
W形成術とは、縫い合わせた傷跡がよく見るとW字型に見えることから名付けられています。耳たぶの縁の部分にW字型(実際にはV字型)のキズを作りますが、非常に小さいのでほとんど見えません。引きつれによるくびれが出来ない点はZ形成術と同じですが、さらにキズの長さを正確に合わせることが出来ること、立体的な歪みが起きないこと、耳たぶの厚みに差があっても修正し易いことなどの利点があり、仕上がりがより良くなります。
手術前

手術前

縫合後(キズは小さいためW字型は実際にはほとんど見えません)

縫合後(キズは小さいためW字型は実際にはほとんど見えません)

術後1年

術後1年

 
 
耳垂裂は形成外科で治療を行っています。どこの病院や何科を受診してよいか分からないという質問も多く受けますが、見た目の改善を目的とした手術ですので、やはりたくさんの症例がある病院、多くの経験がある医師の方が良いと思います。

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