我が家の1階を図書室として地域に開放、
街おこしに本のイベントを開催@国分寺市
自分が暮らす賃貸住宅の1階を私的な図書室「西国図書室」として地域に開放している人がいる。シェアハウスで出会い、結婚後に国分寺市に引っ越してきた篠原靖弘さんである。開室するのは基本、篠原さんがお休みの日、日曜日午後のみ。置かれている本はご夫婦が持っていたものに加え、会員として図書室に関わる幅広い年代の利用者が持ち寄ったものである。
面白いのは単に本を貸し借りするだけではなく、その本を貸す人、借りた人の感想が本に添付された本籍表(貸す人用)、旅の記録(借りた人用)なる紙を通じて行き交うという仕組みである。実際に貸す人、借りた人が直接会うことがなかったとしても、互いになんとなく相手を意識しあうことになるわけだ。
オープンから2年余、会員は170人を超え、預かっている本は500冊を超えたという。確実に街の人が出会う場として認知されてきているのだ。
さらに、この本を介して地域の人間関係を作るという活動は地域のイベント「ぶんぶんウォーク」参加を通じて広がりつつある。ぶんぶんウォークは言ってみれば街の文化祭で、11月の2日間、参加者は街をぶらぶら散歩しながら、市内のあちこちで開かれる大小60を超すイベントに参加するというもの。
篠原さんが企画した国分寺ブックタウンプロジェクトでは初日に市内で一箱古本市、2日には市のもとまち地域センターで一箱古本市、書評を戦わせるビブリオバトル、巨大原稿用紙に物語を書き続けていくワークショップ、絵本の料理を作って食べるイベントなどが行われた。
会場を訪れてみると、子どもから大人、高齢者まで幅広い年代の人が集まっており、並べられた本を覗いたり、マイクに向かって熱弁を奮ったり。市内でも駅から遠く、分かりにくい場所だったため、参加していた人数はそれほど多くはなかったものの、参加者の楽しそうな様子が印象的だった。
ちなみに一箱古本市とは地域の店先を借り、一人が一箱の古本を販売するというもの。2005年の谷根千での不忍ブックストリートに始まり、現在では日本全国で開かれるようになっており、街の賑わいに貢献している。2014年に記事で紹介した雑司ヶ谷でも書店と一箱古本市が活性化のきっかけとなった。詳細についてはこれを始めたライター・編集者の南陀楼綾繁さんの「一箱古本市の歩き方」(光文社新書)に詳しい。
続いて国立にある、参加する人が参加費を払って、本を提供し、さらには店番までするという面白い場所をご紹介しよう。