並んで立ち、競い合っていた『2ほんの木』

大きな木と小さな木。ともだちである2本の木が立つ周りには、何もなかったころの野原。「ふたり」は季節を一緒に感じ、春には共に精いっぱいの花を咲かせ、冬には雪に埋もれて共に震えていました。夏には緑の葉を枝いっぱいに生い茂らせ、秋には色とりどりの鳥たちが枝に止まりにきて……。ふたりはいつも、どちらがたくさんの花を咲かせ、葉を生い茂らせ、より多くの鳥たちが止まりにくるか、常に競争し、言い争いにまで発展することも。仲がよいほどけんかする、の典型ですね。ずっとこんな風に競い合うことができる日々が続くと、信じて疑わなかったことでしょう。



 


引き裂かれてしまった2ほんの木

やがて、野原が分けて取られたことにより、そんなふたりの間に高い壁が建てられ始めます。次第に見えなくなっていくお互いの姿。悲しみのあまり生気を失っていく大きな木と、励まし続ける小さな木。やがて、交流することもなく長い年月が流れていったふたりの関係ですが、ある日大きな木は、大好きだった小さな木が元気であることを知る、あるサインに気づきました!


時の流れと成長が変えたふたりの関係

人に置き換えても、人生は出会いと別れの繰り返し。それが縦横斜めに絡み合い、自分の物語を作り上げていくことは、大人になるにつれ少しずつ感じていくことでもありますが、それでも、仲間や親しい人たちとの別れは、その都度切なくてたまらないもの。現代でこそ、ネットを通じて世界中のどこにいても近況を伝え合うことができますが、やはり、リアルで交流できるつながりにはかないません。特に子どもにとって、大切な友だちとの当たり前のような日常が、様々な事情によって断たれてしまうことは、苦しいものでしょう。

大きな木と小さな木は、壁を隔てたすぐそこに相手がいるにもかかわらず、お互いの様子を見ることができないことに苦悩しました。動けないふたりにとって、近くて遠い遠い距離。どれだけの月日が流れたのかは分かりませんが、再び顔を合わせた時のふたりの表情には、懐かしさや嬉しさ以上に、それぞれが積み重ねてきた時の長さの重みにあっけにとられているようにも見え、心打たれます。2人の周りの環境はすっかり姿を変えていましたが、心のつながりは変わらないままでした。それどころか、成熟した新たな心の交流がスタートしたようです。


「思い」はずっとつながっていく!

途切れてしまった大切な仲間との関係、途中であきらめなければならなかった大切なこと。それらは決して「なくなってしまう」のではなく、またいつか違う形で、自分が過ごしてきた年月の中で経験したり育んできたりしたことと、つながっていきます。もちろん、絵本を読む子どもたちはそこまでは思いを巡らせなくても、「きっとまた会える」「強く願っていれば思いはかなう」というふたりの再会の物語は、何かワクワクとした気持ちを感じさせてくれるでしょう。

ふたりを隔てていた壁を、再会したふたりはどのように感じているのでしょうか。仲良く遊んだり、けんかを繰り返したりする友だちの存在や、自分の思うようにいかない日々の様々なことを少しずつ意識し出すようになった年頃のお子さんから、おすすめしたい絵本です。
 



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