スパイログラムとデータについて
スパイログラムとは、呼吸機能を測定する機器であるスパイロメーターによって測定され記録したグラフのことです。スパイロメーターによる測定方法は、呼吸の吸気時に可能な限りの吸気を行い、すべての息をできるだけ早く吐き出すという単純なものです。この際、安静時呼吸の吸気位と最大吸気の吸気位の差により、予備吸気量がわかり、安静時呼吸の呼気位と最大呼気の呼気位の差から、予備呼吸気量がわかります。その他にも、1秒間に吐き出された量は「1秒量」と言われ、1秒量を努力性肺活量で割った値が「1秒率」と呼ばれています。
上記を含め、肺機能における各データは以下のようなものがあります。
- 1回換気量(VT) :安静呼吸で出入りするガスの量
- 予備吸気量(IRV) :安静吸気位と最大吸気位との差
- 予備呼気量(ERV) :安静呼気位と最大呼気位との差
- 最大吸気量(IC):予備吸気量+1回換気量
- 残気量(RV) :最大呼出時に肺に残っているガスの量
- 機能的残気量(FRC) :残気量+予備呼気量
- 肺活量(VC) :予備吸気量+1回換気量+予備呼気量
- 全肺気量(TLC) :最大吸気位における肺ガス量(肺活量+残気量)
問: 誤っているのはどれか。(2007年理学療法士国家試験より)
- 残気量 =全肺気量-肺活量
- 肺活量 =予備呼気量+最大吸気量
- 予備吸気量 =最大吸気量-1回換気量
- 予備呼気量 =全肺気量-最大吸気量
- 機能的残気量=予備呼気量+残気量
この答えは4.になりますが、パッと答えを出せない場合はこれからお教えする方法が役に立ちます。では、一緒に見ていきましょう。
簡単!スパイログラムを図表化して記憶する方法
まずは五本の線を縦に描きます。右側に"吸呼"と縦に書きます。これは一番右の線だけでよいです。
横線を描いていきます。
ここから各枠に当てはまる名称を入れていきます。
では、完成した表と過去の国家試験に出たスパイログラフを見比べてみます。
問: 図の肺気量分画で機能的残気量はどれか。(2006年理学療法士国家試験より)
正解⇒2
この問題の場合であれば、先ほどの表が描ければ、問題が1から5まで全て答えなさい。という問いであっても対応は可能であると思います。
その他にも、肺活量から予備吸気量を引いたものはなにか?といった混乱しやすい文字式も、表を見ればすぐに対応できます。前回の股関節の靱帯作用に続き、ほんの数回の練習でマスターできると思いますので、是非、お試しください。