誰もがぶつかる問い『サンタクロースってほんとにいるの?』
早い子では3歳前後から、そして4歳前後にもなればはっきり、子どもの中で「クリスマス」と「サンタさん」というワードが結びついていきますよね。保育園や幼稚園でクリスマスの絵本を読んでもらったり、お友だちと一緒に、準備段階から始まってクリスマスイベントを迎えるという経験をすることも大きいですね。そして、サンタさんの存在を無心に信じている頃は、思ったよりあっという間に過ぎ去っていき、小学生にもなると、時期の個人差は大きいものの、「サンタクロースってほんとにいるの?」という思いを抱き始めてきます。そんな時期はまだまだ先でいいよ~というのが親心。その質問がいつ子どもの口から出てくるか、ちょっとドキドキしてしまいますね。
実際にその質問を我が子から投げかけられたら、どう答えるでしょうか? 絵本『サンタクロースってほんとにいるの?』では、小学生と思われる子どもたちからサンタクロースについて質問攻めにあうお父さんが、その問いに真剣に向き合い、答えていきます。
サンタクロースで広がる親子の会話
「サンタクロースってほんとにいるの?」「えんとつがなくてもくるの? ドアにかぎがかかっていてもくるの?」「どうしてぼくのほしいものがわかるの?」……。お風呂に入りながら子どもたちから次々投げかけられる問いに、お父さんが漂々とした様子で答えていきます。お父さん自身が心から、「サンタクロースは本当にいるんだよ」という気持ちで返している答えの数々に、「サンタがいるかいないか」では終わらない色々な視点を投げかけられます。サンタって本当はいないんでしょ、なんて少し思っていた子どもでも、もっともっとたくさん質問したくなってしまうような、お父さんの答えです。いつしか、絵本の中の子どもたちにとっても、大事なものは、サンタがいるかいないかということだけではなくなっているようです。答えは無限大
「(サンタクロースが)こないうちもあるのは なぜ?」「ねえ、ほんとにいるの」……。ダメ押しのように投げかけられる子どもたちの質問。でも、お父さんの中には、確固たるサンタクロースさんがいるので、その答えがぶれることはありません。この絵本を読んで、我が子からの問いのヒントになる人もいれば、全く違った答えをする人もいるでしょう。答えは、無限大なのです。同じ人でも、その1年に感じてきたことや、今置かれた状況、様々に形を変えていく家族への思いによって、答えも変化していくかもしれませんね。「サンタさんって、何だろう」と、読み終わった後に大人も静かに考えたくなります。
幼い頃に憧れていたサンタさん像は、いつしか影をひそめても、「あなたのサンタさん」は必ずいるはず。お父さんの答えに満足しきったような子どもたちの輝く寝顔が、絵本を締めくくります。