絵本

がらくたロケットで大冒険『ルイのうちゅうりょこう』

お父さんが、がらくたばかりを使って作ったロケットに乗って、宇宙に出かけたルイ少年。なぜか意地悪な友だちも加わって、ハラハラドキドキの冒険旅行となりました。コルデコット賞作家キーツが描く美しい宇宙をご覧ください。

執筆者:大橋 悦子

憧れの宇宙旅行に、いざ出発!

2014年12月、小惑星探査機「はやぶさ2」をのせたロケットが打ち上げられ、多くの子どもたちが目を輝かせてその様子を見つめていました。いつの時代も宇宙は子どもたちにとって憧れのまとです。その憧れの宇宙を旅することができたらどれほど楽しいでしょう。そして、もしも宇宙旅行に使うロケットがお父さんのお手製だったら? そんな夢のような経験をした男の子のお話『ルイのうちゅうりょこう』をご紹介します。

宇宙船ルイ1号発進!『ルイのうちゅうりょこう』

『ルイのうちゅうりょこう』の表紙画像

古道具製とは思えない性能を持つ、へんてこりんな宇宙船にご注目!

お父さんを「がらくたおやじ」と馬鹿にされたルイは、元気がありません。そこでお父さんは、家にあるがらくたを使ってロケットを作ることにしました。そして、正真正銘のがらくたから見事宇宙船「ルイ1号」を完成させたのです。

同乗を申し出たスージーと一緒に、2人はルイ1号にのって宇宙へと旅立ちます。でも、装備がちょっと心配ですね……。宇宙服は無理でも、せめてヘルメットくらいかぶった方が良かったのでは? ヘンテコなお鍋をかぶっただけでは、きっと何の役にも立たないでしょう。そんな読者の心配をよそに、ルイ1号は数々の惑星を通り抜け、美しい宇宙空間を漂い続けます。

ところが、ルイを馬鹿にしたいじめっ子たちがバスタブ製ロケットに乗りルイ1号の後を追ってきました。しかも彼らは遭難し、ルイ1号に助けを求めてきたのです。どうする、ルイ? やがて隕石群が迫り来て怪物のように彼らを襲います。子どもたちはどうやって地球へ帰還するのでしょうか?

星空の画像

子どもたちが見た美しい惑星もこの中にあるのでしょうか?

宇宙をめぐる壮大なストーリーは、子どもたちだけでなく大人の想像力をもかきたてます。そして、そこに添えられたエズラ・ジャック・キーツの独特のコラージュが、なお一層読者の想像力を刺激し、宇宙という美しくも不思議な世界に私たちを誘います。

けれども、子ども同士のいざこざを発端に、夢のような宇宙旅行を経て迎えるのは、友だちとの仲直りという笑っちゃうほど現実的で普通の結末です! いえ、批難しているのではありません。この驚くべき落差は絵本にだけ許された特別のもの。幼い子どもたちは、いつも絵本を見ながら、こんなふうに現実の世界と空想の世界を行ったり来たりしているのかもしれないと気付かされたのです。


【書籍DATA】
エズラ・ジャック・キーツ:作 田村恵子:訳
価格:1404円
出版社:偕成社
推奨年齢:4歳くらいから
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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