鈴木杏さん 浦井健治さん インタビュー
(12月16日追記)『星ノ数ホド』の公演も佳境に入った某日のマチネ公演終了後、マリアン役の鈴木杏さんと、ローランド役の浦井健治さんにお話を伺って来ました。作品にかける思いや演出・小川絵梨子さんの印象など興味深いトークが盛り沢山です。新しく届いた舞台写真と共にどうぞ!
鈴木杏さん(マリアン役)
「この時代だからこそ”対話”する力を体感して欲しい」
マリアン役 鈴木杏さん
――二人芝居は今回が初めてですよね。何か意識している事はありますか?
鈴木
そう、二人芝居は今回が初めてなんです。“台詞”で相手と対話していく事が本当に難しくて、上手く行く時もあれば「ん、ノッキングを起こしてるかな」と感じる時があったり、逆にスルスル行ってしまう時もあったりで、色んな場所を行ったり来たりしています。
演出の小川(絵梨子)さんからも言われているんですが、まずは“相手を感じること”……そこを一番意識してます。その場にちゃんと居ることと、相手の存在をちゃんと感じること。何よりそれが大切だな、と思います。
――小川さんの演出はいかがですか?
鈴木
スパルタです(笑)。本番に入ってからもノート(演出家からのダメ出し)が来ますし、小川さんが求めているもののレベルの高さと、この戯曲のレベルの高さに追いついていくのは大変です。
(撮影:谷古宇正彦)
――ローランド役の浦井(健治)さんとも今回が初顔合わせですよね。
鈴木
初めてという事もあり、稽古中はまるで綱渡りのように、どこに行くのか分からないっていうスリリングさがあって……ん、空中ブランコかな?(笑)。でも浦井さんが本当に素直にその場にいてローランドとして反応して下さるので、舞台上で何があっても戻って来られるという安心感は凄くあります。
――『星ノ数ホド』は“無数の現実”が同時に存在するという量子力学的な視点を持って描かれていますが、もし女優という仕事を選んでいなかったら今頃何をしていると思いますか?
鈴木
何してるのかなあ……(笑)。女優という仕事をもし選んでいなかったとしたら、考え方や行動も全く違う風になると思うんです。私は“ものを作る人”になっていたかもしれませんね。この戯曲の考え方で行くと、そんな私もどこかに存在している筈で。覗いてみたいけどそれができないのがまた歯痒いですね。
――では、これまで劇場にいらした方と、これから劇場にいらっしゃる方にメッセージをお願いします。
鈴木
色々な要素がある作品なので、ご覧になった方それぞれに感じ方も違うと思います。少し難しいかな、と思われるかもしれませんが、劇場にいる時間を楽しんで頂けたら嬉しいです。(新国立劇場・演劇部門の)芸術監督の宮田慶子さんも仰っていたことなんですが、SNS等のツールが発達したことで、生のコミュニケーションが薄れてきていると思うんです。そんな今だからこそ“対話する力”を体感して、そこから何かお土産を持って帰って頂けたらと思います。あ、あと寒くなって来ていますのでこれからいらっしゃる方は暖かい服装でいらして下さい(笑顔)。
(撮影:谷古宇正彦)
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