イエス=キリストを一人の人間としてとらえる

裸の王様
ジーザス・クライスト役の柳瀬大輔。98年から同役を務めている

9日、『ジーザス・クライスト=スーパースター』<ジャポネスク・バージョン>が、東京・四季劇場[秋]にて、開幕しました。『ジーザス・クライスト=スーパースター』(以下、『ジーザス~』)は、『キャッツ』『オペラ座の怪人』の作曲者として知られる、アンドリュー・ロイド=ウェバーと、『エビータ』、『ライオンキング』の作詞家ティム・ライスの出世作。1969年、まだ20代だった2人が発表したアルバムは、瞬く間にミリオンセラーを記録。1971年に、ブロードウェイで初演されました。
イエス=キリストが十字架に架けられるまでの最後の7日間をロック調の音楽に乗せて描いた作品で、これまでのキリスト像とは異なり、キリストをひとりの人間としてとらえ、群集の熱狂的な信仰に戸惑う苦悩や心の葛藤を描き出した『ジーザス~』は、さまざまな議論を巻き起こし、初演開幕時には敬虔なクリスチャンからは、「神に関する冒涜」と、公演を反対するデモが行われるほどの大変な反響を呼びました。

イギリスでも絶賛された<ジャポネスク・バージョン>

裸の王様
ユダヤ王ヘロデ(下村尊則)は、女形の花魁2人を引き連れて登場する
日本版は、1973年に、劇団四季により上演。『ロックオペラ イエス・キリスト=スーパースター』として、演出の浅利慶太はオリジナル版とは異なり、登場人物全員が歌舞伎の隈取にジーンズというオリエンタルムードあふれる舞台を作り上げます(ちなみに、この初演で主演のイエス役を務めたのが、鹿賀丈史です)。以後、この演出が<ジャポネスク・バージョン>と呼ばれるようになります。 楽曲を和太鼓や三味線・笛でアレンジしたり、ユダヤ王ヘロデが、花魁(おいらん)を引き連れて登場するなど、日本的なアレンジが加えられた<ジャポネスク・バージョン>は、後にイギリスでも上演され、好評を博しています。現在、日本で上演される海外翻訳ミュージカルの多くは、日本でも海外のオリジナル演出のまま上演されますが、この時代には、まだ日本独自の発想や演出、振り付けを創造することができたのです。