<目次>
イタリア人とバールの切っても切れない関係
カウンターでカプチーノを入れてもらう
朝は、出勤する前にバールに立ち寄って、カプチーノとクロワッサンで軽い朝ごはん、出勤してからお昼までの間にエスプレッソを一杯、食後にも一杯、午後は眠くなってくる頃にまた一杯と、平均すると一日で4~5杯は軽く飲んでいる計算になります。たとえ自宅や職場にコーヒーマシーンがあっても、時間が許す限りは気分転換にちょっとバールに寄って、カウンターでクイッとエスプレッソを飲んでサッと踵を返す、というのがイタリア人の体にすっかり馴染んでいる生活習慣と言ってもいいでしょう。
あの小さなデミダスカップに注がれる濃い茶色のエスプレッソは、イタリア人にとっては恍惚の飲み物なのです。
特に朝のバールの光景はとても賑やかで、見ているだけでも楽しいものです。カウンターの中でコーヒーを淹れるバリスタBaristaが、「ウンカップッチーノペルシニョリーナ!(おじょうさんにカプチーノ一杯)」などと独り言を言いながらエスプレッソマシーンを扱う一連の動きは、まるで日本の茶道の作法のように滑らかです。
イタリアンバールに入ったらどうしたらいい? 注文の仕方!
では実際にイタリアのバールで、飲み物をオーダーするにどうしたらいいのでしょう?まずバールのデビューには、あまり混雑していないバールに行くことをお勧めします。カウンターの前が混んでいると、お行儀の良い日本人がちょっと遠慮したり譲り合ったりしている間に順番を飛ばされてしまうからです。
バールは着席で頼むのか、カウンターで頼むのかによっても料金が違います。席についてゆっくりしたい時には、目の合った店員さんにこう言いましょう。
Posso sedermi? ポッソ セデルミ?
(座っても良いですか?)
きっと店員さんは チェルト! Certo!(もちろん)と言って空いている席ならどこでもどうぞ、というような仕草をするでしょう。何も言わずに座っても構わないのですが、ここで一言声をかけておけば、店員さんは忘れずに注文を聞きに来てくれるでしょう。
バールのテラス席
もしカウンターでの立ち飲みに挑戦してみたい場合は、まっすぐカウンターに行き、バリスタに直接注文すればいいのです。
では実際に飲み物を注文してみましょう。
イタリアンバールのメニューはバラエティー豊富!
バールの飲み物は定番のエスプレッソ Espressoやカプチーノ Cappuccino、エスプレッソにちょっとミルクを垂らしたカフェ・マッキャート Cafè Macchiato、グラスのホットミルクにエスプレッソを垂らしたラテ・マッキャート Latte Macchiato、チョコレートペーストを入れたマロッキーノ Marocchinoなど、スタンダードメニューはどこのバールも変わりません。さらにイタリア人の中には、エスプレッソをちょっと薄めにカフェ・ルンゴ Cafè Lungo、さらに濃いめにカフェ・リストレット Cafè Ristretto、倍量でカフェ・ドッピオ Cafe Doppio、カフェインレスのカフェ・デカフィナート Cafè Decaffinato、大麦コーヒーのカフェ・ドルゾ Cafè d’Orzo、グラッパを垂らしてカフェ・コレット Cafè Correttoなど、自分の好みに合わせてアレンジして注文する人もいます。 注文の仕方は簡単です。
Un cappuccino, per favore. ウン カップッチーノ、ペルファヴォーレ
(カプチーノをひとつ、お願いします。)
ラテマッキャートにクロワッサン
もうひとつの朝の定番は牛乳がたっぷり入ったラテ・マッキャートです。朝食以降は、エスプレッソやカフェ・マッキャートなど、小さなデミダスカップで頂くカフェを頼みます。
イタリアンバールでお会計はいつ?最初or最後?
朝ならウィンドーに、ホカホカに焼きたてのクロワッサンや美味しそうなペストリーも並んでいることでしょう。このウィンドーからは自分で自由に好きなものをとって食べて構わないので、あとで会計の時に申告します。支払はレジのところに行って、自分が何を頼んだのか伝えます。
Ho preso un cappuccino ed un croissant.
オ プレーゾ ウン カップッチーノ エ ウン クロワッサン
(カプチーノとクロワッサンをお願いしました。)
鉄道駅や高速道路のサービスエリアなどに入っているバールでは、時として流儀が全く逆の時があります。まずレジで最初に会計を済ませてから、そのレシートを持ってカウンターで注文する方式です。そのままカウンターで飲んでも、自分で飲み物を持って席に着いても料金は変わりません。
自分の入ったバールの会計は最後なのか最初なのか、見極めるのは少々難しいところなのですが、大抵のバールでは最後なので、もしもそれで店員さんに何か言われたら「あぁ、まず最初に会計なのだな」と思ってレジに行きましょう。
こんな風にどんなに忙しくてもバールでエスプレッソをオーダーし、クイッと飲んでサッと出る。このちょっとした気分転換で、イタリア人は上手に生活のメリハリをつけているんですね。
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