軽いタッチでお正月を描く『おしょうがつこびとのおはなし』
まついのりこさんの「行事こびとのえほん」の1冊、『おしょうがつこびとのおはなし』。細いシンプルな線で描かれた小さなかわいらしいこびとや動物たちは、まだストーリーを追えない小さな子にもとても魅力的なようです。でもおすすめは、簡単なストーリーを理解することができ、季節には色々な行事があることを少しずつわかり始める年頃からでしょう。お正月を待つ時期や年初めに親子で楽しみたい、軽いタッチのほのぼのとした雰囲気。正月の「和」の部分と、こびとたちの「洋」の雰囲気が組み合わさった、新鮮なお正月絵本です。
「おしょうがつこびと」とは!?
ところで、「おしょうがつこびと」ってなんでしょう!? 1年が始まりスムーズに季節が巡っていくために欠かせない、とても大切な仕事を担当しているのです。それを成し遂げるために川向こうの丘の上の白い家を目指すのですが、お正月遊びをする動物たちと出会って新年のあいさつを交わしたりしているうちに、あることによって「川を渡れない」という大きなハプニングに遭遇します。途方に暮れる、おしょうがつこびと。その様子を見ていた動物たちが、お正月らしいすてきなアイデアを思いつきました。絵本の中では動物たちが、羽根突きやこま回し、凧作りをする場面が出てくるのですが、こまや凧の存在は知っていても、羽根突きという遊びはピンとこないお子さんも少なくないかもしれませんね。凧を作る過程が、ていねいかつシンプルに描かれているのも、まついのりこさんの絵本らしく、子どもの好奇心を引き出します。お正月というものに関しては、遊びや「あけましておめでとう」のやり取りで表現するのみですが、わかりやすい絵とストーリーは、小さなお子さんも楽しみやすいでしょう。
こびとのお仕事、そして楽しい1年を期待させるラスト
おしょうがつこびとが白い家に着いて大事な仕事をした後に現れる場面は、これからの1年間という「未来」が、とてもワクワクした輝いたものになりそうな気持ちを届けてくれるでしょう。「ことしもいいとしになりますように」と歌うこびとたちの歌声が、読み手の子どもたちの心の中にも届きそうです。登場するこびとや動物たちがミニサイズなら、絵本自体も縦横18cm×13cmとミニサイズ。年の瀬の寒い時期、お子さんをひざに抱っこして一緒に読むのもいいですね。