絵本

微生物の世界をのぞいてみよう『ちいさな ちいさな』

目に見えないけれど、どこにでもいて忙しく働いているもの……それは微生物。人間が空気を吸えるのも、実はこの微生物のおかげなんですって! 園児から小学生まで楽しめる、微生物の不思議を描いた絵本をご紹介します。

執筆者:大橋 悦子

目には見えないけれど確かにいる『ちいさなちいさな』微生物

目には見えないけれど、どこにでもいて忙しく働いているものなあに? 納豆やヨーグルトを作ったり、時には私たちに風邪をひかせたりするものと言えばもうおわかりですね。答えは微生物です。でも、微生物の働きはそれだけではないそうです。私たちが空気を吸えるのも、実はこの微生物のおかげなんですって! そんな不思議な生き物の働きをわかりやすく伝える科学絵本をご紹介します。2015年青少年読書感想文全国コンクール・小学校高学年向け課題図書です。

地球で1番小さな生き物がしている「大きな仕事」

『ちいさなちいさな』の表紙画像

あれもこれも微生物のおかげだなんて! 信じられる?

真昼の空にも星があるように、私たちの目には見えなくても、確かに「存在するもの」があります。小さすぎて見えないけれども、私たちの暮らしに深くかかわっている微生物もその1つです。でもこの作品を読むと、微生物がちっぽけな大きさだからと言って、その働きまでちっぽけだと思ったら大間違いだということがわかります。

なにしろ彼らには数という「強み」があるのですから。海水のひとしずくに、ニューヨークの人口の2倍以上にあたる2000万もの微生物がいるなんて信じられませんね。しかも彼らは、増えるのが得意なので、その小ささからは考えられないほど大きな仕事をやってのけるのだそうです。

例えば、山をすり減らしたり、海を赤く染めたり、雪を降らせたりします。私たちの健康を守ったり、反対に病気にしたりすることもあります。それらは「小さすぎて口を持たない微生物は、食べ物を体に直接取り込んで他の物に変えていく」という彼らの特質がもたらすもの。地球のいたるところで、食べ続けて、増え続けて、何かを他の何かに変え続けている……それは、見えないけれど世界を変え続けているということ。すごいなあ!

顕微鏡のイメージ画像

微生物に興味を持ったら顕微鏡をのぞいてみるのも楽しそうです

そんな微生物の働きを説明するのに、エミリー・サットンの絵が大いに役立っています。例えば、顕微鏡をのぞいて見える微生物の姿は、まるで北欧のテキスタイルのようにカラフルでポップ。そんな彼らを見ていると、「微生物たちは、いったい何を見て何を感じているのだろう」という思いがわいてきます。同時に、私たちがこういう生き物と同じ地球に暮らしている不思議さも感じずにはいられません。

微生物がしている大きな仕事の1つは「世界を変え続けていること」ですが、私たちに「生き物の不思議さを感じさせてくれる」こともまた彼らの大きな仕事の1つなのかもしれません。『ちいさなちいさな』はそんなことも考えさせてくれる科学絵本です。


【書籍DATA】
ニコラ・デイビス:文 エミリー・サットン:絵 越智典子:訳 出川洋介:監修
価格:1620円
出版社:ゴブリン書房
推奨年齢:6歳くらいから
(2015年青少年読書感想文全国コンクール 小学校高学年向け課題図書)
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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