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妖怪ウォッチの成功と平成仮面ライダービジネス(2ページ目)

大ヒットを飛ばしている妖怪ウォッチ。最近ではどこに行ってもジバニャンを見かけるようになりました。同じく子ども達に人気のゲームとして、ポケットモンスターシリーズ(以下ポケモン)とよく比較されますが、実は妖怪ウォッチの売り方は、ポケモンよりも、仮面ライダーの方が近いかもしれません。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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妖怪メダルとフォームチェンジ

妖怪メダルの図

メダルを求めてお父さんやお母さんが行列を作る現象は、仮面ライダーのそれととても似ています。

さらに、妖怪ウォッチが平成仮面ライダーと似ているのは、妖怪メダルの存在です。仮面ライダーと言えば仮面ライダー1号だ、という世代にはちょっとピンとこないかもしれませんが、最近の平成仮面ライダーでは、ベルトにアイテムを装着することで、フォームチェンジなんていう言い方をしますが、仮面ライダーが新たな姿に変身する、というのがパターンとなっています。

最新の「仮面ライダードライブ」では、シフトカーと呼ばれるミニカーのようなアイテム。1つ前の「仮面ライダー鎧武者/ガイム」では、ロックシードと呼ばれる錠前でした。ちょっと前にさかのぼって、2010年~11年に放送されていた「仮面ライダーオーズ」では、コアメダルと呼ばれる、メダルでした。そう、メダルだったんですよ。

メダルというのがちょうどいいので仮面ライダーオーズの話をすると、劇中に登場する変身ベルトとそっくりな玩具のベルトがありまして、ここに玩具のメダルをはめるわけです。劇中では、これで音楽や台詞とともに仮面ライダーの姿が変わり、戦い方が変わるわけですが、玩具の方では、メダルをはめることで劇中の音楽や台詞が再生される仕組みになっています。

そして、メダルを求めてお父さんやお母さんが行列を作って並んだり、限定のメダルがあったり…、ほらもう妖怪ウォッチの話に聞こえてきませんか?

妖怪ウォッチのメダルを求めて大人たちが並ぶ姿って、毎年クリスマスシーズンに繰り広げられる、平成仮面ライダーの玩具争奪戦と、すごく似ている光景なんですね。

新しいゲームと、新しいライダーと、新しい玩具

妖怪ウォッチ2に登場した新しい妖怪ウォッチが、また玩具になって、という構造ですね。

DX妖怪ウォッチタイプ零式の図

平成仮面ライダーは、1年間で1つのシリーズを完結させます。1年経つと、新しいライダーが出てきて、新しいベルトが登場し、新しい玩具が発売されます。それを毎年、子どもたちが欲しがるわけです。

妖怪ウォッチは登場して2年目となっていますが、既にこの路線を踏襲していて、夏に発売された妖怪ウォッチ2では、「妖怪ウォッチ零式」という新しい妖怪ウォッチが登場し、そして当然ではありますが新しい妖怪達が登場します。そしてそれらが玩具となって発売され、また子どもたちを虜にしてきます。

妖怪ウォッチはあまりに早い続編の発売はもったいない、という声も聞こえましたが、レベルファイブはそもそも1年後に続編を発売することを前提として動いていたということでした。

元々レベルファイブは毎年シリーズ続編を出していくスタイルでシリーズを販売していくことが多いメーカーでしたからその延長であるとも言えます。しかし、1年ごとに新しい続編を出して、そのたびに玩具を刷新して盛り上げていく、ということが軌道に乗ると、やはり、仮面ライダーシリーズと非常に近い売り方であると言えます。

そう考えると、妖怪ウォッチは、仮面ライダー的な成功メソッドを、ゲーム業界に持ち込んだ作品、と言うことができそうです。
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