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知ってますか?あなたの会社の「有給休暇と就業規則」

「有給休暇を取ってリフレッシュしたい!でも、うちの会社は何日取れるの?」そんな時はあなたの会社の就業規則を読んでみましょう。有給休暇だけでなく、会社で働くうえで必要な様々なルールが載っているはずです。「はじめての労働基準法」第4回です。

長友 秀樹

執筆者:長友 秀樹

社会保険労務士試験ガイド

年次有給休暇

働いている皆様は、ご自分の会社の就業規則をきちんと読んだことがありますか?入社時に少し説明してもらっただけで、その後はまったく見たことがない、という方も多いのでは。

今回のテーマの一つである年次有給休暇は、働く人が心身の健康を保つための不可欠な制度ですが、就業規則には、従業員が使える日数や申請時のルールなどが必ず記載されているはずです。社労士試験での出題確率も高く、毎年様々な角度から出題されている分野ですので、入念に学習しておきたいところです。

年次有給休暇の日数は、入社日から6ヶ月経過後にその間の出勤率が8割以上だった場合に10日、その後1年経過するごとにその間の出勤率が8割以上だった場合に、次の表の日数が付与されるとされています。
 
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年次有給休暇の付与日数(週5日以上勤務または週30 時間以上勤務の方)


年次有給休暇は、勤務日数が少ないパートタイマーには権利がないと誤解されがちですが、そうではありません。所定労働日数が少ない人でも、正社員の勤務日数の比率を考慮して定められた日数が与えられます(これを「比例付与」といいます)。比例付与の対象者は、次のいずれにも該当する人です。
  • 所定労働日数が4日以下
  • 週以外の期間で所定労働日数が定められている場合は、年間所定労働日数が216日以下
 
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年次有給休暇の付与日数(週4日以下勤務かつ週30 時間未満勤務の方)


年次有給休暇は、法律上の要件を満たしたら当然に生じる権利であるため、休暇の取得にあたって会社の承認を得ることが条件となるものではありません。そして、いったん与えられた日数の時効は2年ですので、与えられた年に使い残した日数は翌年まで繰り越すことが可能です。

年次有給休暇は、原則として働く人が請求した時季に取得することができます。ただし、会社側にも「時季変更権」が認められていて、繁忙期にあたる期間で、休暇を取られると事業運営に支障をきたす場合に限り、取得日を変更してもらうことができる権利が認められています。
 

就業規則

就業規則は、会社で働く人が就業にあたって守らなければならないルールや、勤務時間、お給料などの決まりを定めたものです。皆様が働いている会社にも自社の就業規則があると思いますので、入社時や休暇を申請する際などに目を通したこともあるのではないでしょうか。ただし、就業規則がすべての会社にあるとは限りません。

労働基準法で作成を義務付けているのは、労働者の数が常時10人以上の事業場です。この場合、作成した就業規則をそこで働く人たちに周知したうえで、労働基準監督署へ届け出なければなりません。
 
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就業規則の必要記載事項

就業規則で定める内容は、基本的に会社が決めることではありますが、法律で定められた記載事項を満たさなければなりません。

就業規則の記載事項には、どのような会社でも必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、定めるかどうかは自由でも、定めた場合には必ず記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)の2つがあります。

なお、作成した就業規則の内容は労働者代表の意見を聴かなければならないとされています(同意までは要しません)。

上記で就業規則に記載した内容について、法令または労働協約に抵触する内容があった場合、その部分は無効とされます。逆に、会社が働く人と個別の労働条件を定める労働契約を結んでいた場合、就業規則の内容を下回る部分は無効とされます。例えば、就業規則では試用期間を3ヶ月と定めながら、ある人とは試用期間6ヶ月の労働契約を結んだ場合、3ヶ月を超える部分は無効となってしまいます。
 

まとめ、試験の傾向

全4回でお送りした労働基準法講座ですが、最後に試験の傾向などをまとめておきます。出題は、労働契約、労働時間、賃金、年次有給休暇を中心に幅広く出題される傾向にあります。最近は、単純に条文内容について問題にするだけでなく、判例や通達(行政の取扱い)などに踏み込んだ問題も増えています。

学習のポイントとしては、原則と例外を対比させながら、覚えていくことが大切です。例えば、前回の知らなきゃ損する「働く人の賃金」で取り上げた、賃金支払いの5原則のように、「全額払いが原則だが、例外として法令や労使協定の定めがある場合などもある」といった形です。働いている皆様には、日常の「働く」ことに直接かかわることですし、これを機に自社の就業規則を見直してみるなど、身近に感じることができて取り組みやすい法律だと思います。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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