労働基準法とは
皆様が会社などで働くうえで、例えば、就業時間は9時から18時まで、休憩時間は60分、お休みは毎週土日と祝日の完全週休2日制といったような規則が決められていると思います。勤務時間や休日などは会社が定めるもので、働く人は事前にこれらを知らされて納得のうえで入社することになります。入社時は労働条件をしっかり確認!
高い能力や技術・経験をもった人であれば、会社から自分が不利な条件(休みが少ない、給料が低いなど)を提示されても断って他社へいけば済みますが、そうでない人は、生活を考えると、多少不利な条件でも受け入れざるを得ないかもしれません。
採用時においては前者よりは後者の人が多いでしょうから、労働契約をすべて当事者任せにすると、会社に比べて立場の弱い働く人が、不当に不利な条件を強いられる恐れがあります。
労働基準法は、このように本来は当事者間の対等な契約により決める労働条件が、不当に労働者不利とならないよう最低基準を定め、働く人を保護するために制定された法律です。
また、数ある労働関連諸法令の中で憲法的意味合いをもつ法律ですので、社労士試験での重要科目であるのはもちろんのこと、働く人であれば全ての方にかかわる大切な法律でもあります。
総則
総則では、法律が適用される事業の範囲や、労働契約の基本原則などが定められていますが、特に大切なのが「労働者の定義」です。会社で働く人には、一般の従業員のほかに、社長以下の役員もいますし、派遣社員や業務委託で働く人がいることもあります。労働基準法は、これらすべての人に適用されるのではなく、労働者と定義される人に対して適用されます。
法律で定める労働者の定義は、簡単にいうと、以下の要件を満たす人です。
(a)会社に雇用され
(b)会社から指揮命令を受けて働き
(c)労働の対価として賃金を支払われていること
例えば、会社の社長や個人経営の事業主は(a)に該当しないため労働者ではありません。会社と業務委託契約を結んで働く人も、個人事業主にあたるため原則は労働者として扱われません。
一方で、派遣社員は派遣先では外部スタッフとして扱われますが、派遣会社(派遣元)で雇用されて賃金を受ける労働者です。