英国の老舗ブランド「コンケラー」の紙を使った上質なノート
「conqueror(コンケラー)」は、英国で1888年に誕生したペーパーブランド。企業やホテルの名前の入ったレターヘッドなどでよく使われているので、その名を一度は聞いたことがあるという方も多いと思う。紙には、それぞれ名前がある。ただ、それらはあくまでも製造現場や流通関係者の間でやりとりされるものだ。そうした中で「コンケラー」は一般の私たちの間でも知られているという点で、かなり珍しい存在だ。それだけ歴史があり、確かな品質があるということなのだろう。
その「コンケラー」の紙を使った上質なノートが作り出された。
日々の仕事や生活の中で楽しめる「コンケラー」
紙の専門商社竹尾が展開するステーショナリーブランド「Dressco(ドレスコ)」。Dressとあるように、身につけるように紙を楽しむがコンセプトになっている。ドレスコらしく、布で装丁されている。さらさらとした指触りの布が、チェックインしたてのホテルのベッドシーツのようにピシッと張られている。ハードカバーの装丁は、製本のプロ集団「美篶堂」(みすずどう)のよるものだ。美篶堂といえば、糊だけで綴じる製本のイメージがあるが、今回は糸かがり綴じになっている。ノートというよりかは、もはやアルバムのようでもある。
サイズはB5。ノートの代表的なサイズだ。個人的にはここ10年ほどA5サイズノートをずっと使ってきたので、このノートをはじめて手にした時、新鮮さがあった。見慣れたはずのサイズなのに、はじめて見たかのような印象を受けた。
表紙が布張りになっているせいかもしれない。
書き応えが味わえる「コンケラー」
そのハードカバーの表紙をドアを開けるように開くと、真っ白な紙面が広がる。久しぶりにB5ノートを広げたものだから、とても広く感じられた。手の平を紙に添えると、ややしっとりとした質感がある。そのまま手の平を紙の上で滑らせてみた。基本は、とても滑らかさがあるが、指先の指紋の先から、紙の細かな繊維がわずかに感じられる。
「コンケラー」というと、私のイメージではレイド(すの目)と呼ばれる縞模様のような細かな凹凸が紙の表面にあるものを思い浮かべる。しかし、今回のものは、そのレイドがない。この紙は「コンケラー・ウーブ ハイホワイト」というものだそうだ。
万年筆で書くと、ペン先がさきほどの細かな繊維の質感をとらえる。特にEFやFといった細いペン先だと、とりわけ伝わってくる。それは、Bの太字でもわずかに感じられた。基本は滑らかにペン先が進んでいくが、その滑らかな中にもサラサラとした小さな感触が混じってくる。
こういう上質な紙に向かうと、いつもよりも少々ゆっくりと書いている自分がいた。いつもは、鉛筆でスケッチブックに殴り書きのようにアイデアを書きとめているが、このノートでは、ゆったりと思考を深めていけそうな、そんな予感がする。万年筆専用のアイデアノートとして使ってみようと思う。
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*Dressco