中央区、港区などの都心エリアは、堅調
何処を買うかよりも、何を選ぶか
パークホームズ築地グリーンサイドの完成予想模型。短期完売
2014年の好調物件を見ると、地価上昇も影響してか都心エリアのマンションが好調でした。中でも中央区や港区の好立地や大規模プロジェクトは堅調です。湾岸エリアのタワーマンションも東京五輪開催を追い風に、堅調な売れ行きを示しています。例えば、
「パークホームズ築地グリーンサイド」(三井不動産レジデンシャル)は、「築地」駅徒歩4分の公園近接のロケーションで全140邸が短期間に完売しました。昨年人気だった
「スカイズ タワー&ガーデン」の隣接地の再開発
「ベイズ タワー&ガーデン」(東京建物 ほか)も好調です。近接街区では、現在新市場の開発が大規模に進行中。「豊洲」駅徒歩圏でのベイフロントであることも好調要因です。また、再開発が駅前で進行中のJR山手線「田町」駅最寄りの
「グローバルフロントタワー」(三井不動産レジデンシャル)も好調。6月に品川‐田町間の新駅計画が発表になったことも注目を高めた要因です。
プラウドタワー立川の完成予想模型
一方、都心エリアを除くと好調物件と比較的販売期間が長期化している物件に分かれます。価格が上昇トレンドだからといって簡単に売れるマーケットではないです。郊外エリアでの売れ筋のキーワードとして挙がるのが『駅前再開発』。
「プラウドタワー立川」(野村不動産)や
「ライオンズタワー柏」(大京)など堅調な物件が目立ちます。また、『再開発街区』などのインフラの整った地区のマンションも堅調です。6月に完売した
「クレヴィア豊田多摩平の森RESIDENCE」(伊藤忠都市開発 三菱地所レジデンス 大栄不動産)や千葉最大の申込件数を誇る
「ザ・レジデンス津田沼奏の杜」(三菱地所レジデンス ほか)などです。好調要因としては、その地域の様々なライフステージの層から支持を受けていることが挙げられます。以前のように新築マンションの購入層が、カップルやファミリー層中心であったマーケットからニーズが多様化していることがうかがえます。夏以降、新築や中古の戸建ての売れ行きの鈍化が目立つようになっていますが、景気動向だけでなく一次取得層のボリュームが減っていることも一因と思われます。
リーズナブルなマンションも堅調
価格志向の強まりも見られる
オハナ 八王子オークコートの完成予想模型
4月に施行された消費税の引き上げにより、コストパフォーマンスを重視する層も目立ちます。
「オハナ八王子 オークコート」(野村不動産)のように価格だけでなく管理費や修繕積立金の仕組み等に配慮したマンションの売行きは堅調です。郊外エリアであれば、リーズナブル感もマンション選びの重要なポイントになっています。大規模マンションでありながら、共用施設も利用頻度の高いものに絞りメンテナンスコストを抑えるプランニングは、郊外エリアのマンションには普及していくのではないでしょうか。
マンションの売れ筋は、ある意味世相を反映しているとも言えます。アベノミクスによる株高や円安の影響を受けやすい都心部は、価値志向が強まり立地や上質感を重視する人が増え、シニア層が増える郊外エリアは再開発タワーや駅前プロジェクトが注目され、子育て層は価格だけでなくランニングコストも含めて検討する。インフレだから単純に価格が上昇すると言い切れるマーケットではなさそうです。
商品企画に工夫を凝らすという点では2014年の新築マンションは、良質な物件が多かったのではないでしょうか。今年購入できた方は、金融緩和による低金利の恩恵も期待でき、メリットも大きかったでしょう。いつが買い時だったかは、すぐには判断できない面もありますが、今を大切に考えるという点ではいつの時代も『今年が買い時』なのかも知れません。