マンション相場・トレンド/マンション相場・買い時

マンション市場2014を振り返る

師走の選挙で、例年よりも慌ただしい2014年の年の瀬。マンション市場は、供給戸数が減少に転じるなどトレンドに変化が見られました。2014年のマンション市場を振り返ってみたいと思います。

岡本 郁雄

執筆者:岡本 郁雄

マンショントレンド情報ガイド

「まだ買い時」だった2014年 秋以降価格上昇の気配 
中古マンション価格は大きく上昇

2014年もあと一月足らず。4月の消費税引き上げ、日本銀行の更なる金融緩和と円安、消費税の再引き上げの先送り、師走の衆議院選挙と様々な出来事のあった今年。マンション市場にも様々なトピックスがありました。ガイドは、2014年の年頭に、「2014年は、『まだ買い時』説の真偽」という題で夏頃までは、価格的な条件等は、2013年と比べ大差ないのではないかと紹介しました。まずは市場動向からみてみましょう。

◆参考記事:2014年は、マンション『まだ買い時』説の真偽

不動産経済研究所発表の首都圏のマンション市場動向10月度によれば、2014年10月度の新築マンションの供給戸数は、前年同月比10.9%マイナスの3,125戸でした。1戸当たりの販売価格は、4,560万円で前年同月比7.1%のダウン。1平米当たりの単価は、前年同月比で10.3%下落しています。一方契約率は、63.3%と低調。今年初めて、70%を割り込んでいます。契約率は、都区部が71.5%、埼玉が80.6%と堅調な一方で、都下が59.5%、神奈川が60.2%、千葉が39.9%と低くなっています。2014年上半期堅調だった新築マンション市場も、やや陰りが出ているような感じです。
おかげ横丁

今年は、良いマンションとの出会いがあったでしょうか(写真は伊勢神宮のおかげ横丁:文とは関係ありません)

上記のデータとは異なり、秋以降のラインナップの価格設定を地域ごとに見ると昨年の相場観に比べ10%前後高くなっている地域が目立ちます。中央区や港区などの都心エリア、世田谷区などの城南エリアが該当します。新築マンションの販売ペースの鈍化は、秋以降の価格上昇も影響していると思われます。こうした動向は、中古価格にも影響を与えています。
首都圏中古マンション在庫件数推移

首都圏中古マンション在庫件数推移(出典:東日本不動産流通機構 月例速報2014年10月度)

中古マンション動向は、成約件数は減少する一方で価格は上昇しています。東日本不動産流通機構発表の月例速報10月度によれば、成約件数は、前年同月比-13.4%の2,655件。対前年割れは、7ヶ月連続ですが成約価格は8.0%上昇の2,812万円、1平米当たりの単価も前年同月比で8.3%上昇しています。

成約件数が減少しているにも関わらず上記の図のように在庫が低水準。結果的にマンション価格上昇の一因になっています。新築マンションを選ぶにしても中古マンションを探すにしても2014年は、早めに動いた方が正解だったと言えるのではないでしょうか。

工事費の上昇で供給減も、10月の分譲マンション着工戸数は大幅増加
今後供給増加に転じれば需給が緩む可能性も

供給戸数の減少やマンション戸数の上昇の一因となった工事費の上昇。新築マンションの供給戸数は、上半期で前年比約20%の減少と供給減少と価格上昇の一因になりました。しかし、分譲マンションの着工トレンドにも変化が出てきています。国土交通省が11月28日に発表した建設着工統計によれば、2014年10月度の首都圏分譲マンション着工戸数は、前年同月比85%増加の7,102戸と大幅に増加しています。これで、1月~10月の着工戸数は、前年比-12.8%まで縮小し76,253戸に。東京都に限れば-5.8%の23,028戸です。実際の供給戸数の減少ほど着工戸数は減っていないことになります。よって当面の新築マンションの供給戸数が極端に減少することは考えにくいと思われます。ではなぜ10月は、着工戸数は増えたのか。一つは前年には消費税の駆込み需要による反動があったことが挙げられます。もう一つは、相場観が上昇する中で事業収支の見通しがつくケースが増えてきたのではないでしょうか。

マンションの契約率の低下は、一過性のものか今後も続くのかは予想しにくいですが、一律に需要が増えていくようなマーケットではもはやないことは、地域ごとの価格動向や売れ行きが大きく異なっているように明らかです。今後、供給戸数が増加に転じれば、マーケット価格が弱含むエリアも出てきそうです。

次のページでは、売れ筋などの傾向を見てみたいと思います。
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