方法その3 既存住宅保証制度を利用する
3つめは、既存住宅の保証制度を利用することです。これは中古住宅に保証をつける制度です。●築15年以内の一戸建てが対象
この制度を利用できるのは築15年以内の一戸建てです。外まわりと室内、給排水の設備などの検査を受け、この制度の基準に適合していると認められた場合、保証書が交付されます。そして、万一の場合、引き渡しから5年間は保証金が受け取れます。
万一の場合とは、屋根や外壁などから雨漏り、床や壁の傾斜など。売り主が一般の人の場合、(補修にかかった費用−10万円)×95%を受け取れます。問題が発生したときに費用のほとんどをカバーできるところが最大のメリットです。
●売り主が住宅履歴書を作成
さらに、この既存住宅保証制度を利用する場合は、売り主に住宅履歴書を作成してもらうことが条件のひとつになっています。新築当時の設計図書のほか、設備交換やリフォームの履歴情報などがわかれば、その後のメンテナンスにも役立ちます。
雨漏りや白アリの被害の有無は事前にしっかりと確認しておきたいことです
この制度を利用するための費用は、現場検査申請料3万2550円のほかに、保証申請料が必要です。保証申請料は、延床面積と、売り主が一般の人か宅地建物取引業者かで異なります。売り主が一般人で、延床面積120平米程度の建物の場合、5万円弱となります(延床面積平米×240円+1万5750円:売り主が一般→240円、売り主が業者→200円)。
この制度も、住宅性能表示制度と同様に買い主でも売り主でも、一般の人でも宅地建物取引業者でも、申し込みが可能です。住宅性能表示制度と同時に申し込むと、別々に申し込むより手続きが簡単で現場検査申請料(3万2550円)が不要になるという利点もあります。
これらの方法を利用する前に
ここで紹介した3つの方法を取り入れる前に、注意点をいくつか挙げておきましょう。何よりも、有料であること。そして、建物の所有者の許可が必要なことです。
とはいえ、所有者も自信のない物件なら許可しないでしょうから、許可がおりたら一定レベルはクリアしたとも考えられます。さらに、瑕疵があった場合でも、保証制度を利用していれば保証金を受け取れます。住宅性能表示制度なら、トラブルになったときに専門機関が小額で対応してくれます。民間の検査会社による住宅診断には保証金や第三者機関によるバックアップはありませんが、万一の場合でも貴重な資料となるはずです。
また、住宅メーカーによっては自社施工の中古物件に限り、住宅の履歴書を整備したり、定期点検のサービスや保証を新たな所有者に引き継げるようにしている会社もありますので、こういった物件を探すという方法もあります。
このようにさまざまな形で不安を軽減する仕組みは整備されてきています。中古物件でも品質のよい物件を見つけることができれば、少ない予算で満足のいく家を手に入れることができるわけです。盲目的に新築だけを検討するのではなく、選択肢を広げ、気に入った物件を探してください。