年金

フリーランスの将来設計と年金(2ページ目)

多様な働き方が選べる現在では、将来設計の考え方も人それぞれです。将来設計を考える上で公的年金は老後の収入の中心となりますが、第1号被保険者であるフリーランスや自営業者は国民年金のみとなります。上乗せ年金は自分で準備しなければなりません。どんな準備方法があるのか制度を中心にご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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フリーランスの上乗せ年金の準備

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自分で準備できる上乗せ年金とは?

フリーランスの老齢年金は会社員のような2階部分がないため、受給額が少なめになります。ただし、フリーランスには会社員のような定年がないので、できるだけ長く仕事を続けて収入を確保することも可能です。ただ長く働けることが保障されているものではないので、自助努力で上乗せ年金を準備しておくことも必要です。自助努力で加入する年金は自由に選ぶことができますが、フリーランスに有利な上乗せ年金の準備を具体的に考えてみましょう。

フリーランスが上乗せ年金の準備を考えるなら、まずは公的年金に近いメリットがある制度への加入を検討するのがよいでしょう。

公的年金の1つとして、「付加年金」があります。付加年金に加入できるのは第1号被保険者のみで、国民年金の保険料に付加保険料として400円を加算して納付すると、「200円×付加保険料納付月数」が付加年金として老齢基礎年金に上乗せされます。

先ほどの事例のスズキさんがこれから付加年金に加入して27年間付加保険料を納付した場合、年間6万4,800円(=200円×27年×12ヵ月)が上乗せされることになります。

上乗せ年金の金額を自由に組み立てたいと考える場合は、「国民年金基金」を選択するとよいでしょう。国民年金基金も付加年金と同様第1号被保険者のみが加入できる制度です。国民年金基金は1口目に必ず終身年金に加入し、2口目以降は終身年金だけでなく、確定年金も選択することができます。掛金は、性別、加入時の年齢、年金のタイプにより異なりますが、加入時の掛金を原則60歳まで負担します。負担した掛金は全額が社会保険料控除の対象で、受給する年金には公的年金等控除が適用されます。

国民年金基金は、終身年金・確定年金を組み合わせて年金の受給パターンを組み立てることができますが、確定年金の年金額が終身年金の年金額を超えてはならない、1ヵ月の掛金の上限は6万8,000円までという制限があります。また、付加年金と同時に加入することができないので、どちらか一方を選択しなければなりません。

事例のスズキさんが34歳の誕生月に国民年金に加入する場合、国民年金基金の1口当たりの掛金は以下のようになります。
国民年金基金掛金

(クリックすると拡大します)

スズキさんが国民年金基金で、終身年金は月額3万円、65歳から15年間2万円の上乗せ年金を準備する場合の掛金を計算してみましょう。なお、スズキさんは妻(35歳、会社員)と子ども1人(2歳)の3人家族なので、終身年金は保証期間のあるA型を選択します。

●1口目
A型 掛金1万2,120円(年金月額2万円:終身)
●2口目以降
A型1口 掛金6,060円(年金月額1万円:終身)
I型2口 掛金8,660円(年金月額2万円:65歳から15年間支給)
●月額掛金合計 2万6,840円

国民年金基金に加入することで、スズキさんは65歳から80歳まで年60万円、80歳以降も年36万円の上乗せ年金を受給することができます。公的年金と合わせると、65歳から80歳までは合計で157万100円(月額約13万円)、80歳以降は合計で133万100円(月額約11万円)となります。
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(老齢基礎年金・老齢厚生年金は平成26年度額)

付加年金と国民年金基金は、第1号被保険者のみが加入できる制度で有利な点もあり、フリーランスが上乗せ年金を準備する場合、選択肢の1つとなるでしょう。
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