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ミルキーで優しいウォッシュチーズ”タレッジョ”

イタリア ロンバルディア州、タレッジョ渓谷がルーツの“タレッジョ”。イタリアのウォッシュタイプでは最も生産量、消費量の多い人気チーズです。

小笠原 由貴

執筆者:小笠原 由貴

チーズガイド

イタリア北部の山間部、タレッジョ渓谷(Val Taleggio)がルーツの“タレッジョ”。四角い形が特徴の、イタリアを代表するマイルドなウォッシュタイプのチーズです。
ミルキーな味わいなので、そのまま食べたり、焼いたり、お料理に混ぜ込んだりと、とても使い勝手の良いチーズです。今回はそんなタレッジョについてご紹介します。

タレッジョ

タレッジョ


タレッジョの内層は、柔らかなクリーム色でむっちり。見るからに美味しそうです。

タレッジョの内層は、柔らかなクリーム色でむっちり。見るからに美味しそうです。



タレッジョの基本データ

名称:タレッジョ(Taleggio)
タイプ:ウォッシュタイプ(ソフトタイプ)
原産地:イタリア、ロンバルディア州ベルガモ、ブレシア、コモ、クレモナ、レッコ、ミラノ、パヴィア周辺、ピエモンテ州ノヴァーラ周辺、ヴェネト州トレヴィーゾ周辺
※タレッジョの位置はこちらをクリックして地図をご確認ください。
原料乳:牛乳の全乳(無殺菌乳または殺菌乳)
熟成期間:最低35日間
固形分中脂肪分:最低48%
出荷時の形・大きさ・重量:一辺18~20cm、厚さ4~7cm、重さ1.7~2.2kgの正方形。
旬:通年
D.O.D.(原産地名称保護)取得年:1988年
表面の様子:表皮は湿ってべたついたものからやや乾いたものまで。色は赤みを帯びたオレンジ色~白っぽく乾いたようなオレンジ色。窪んだところには、ブルーグレーのカビが付いている事もある。表面には、型入れ時に付いた縦線(昔は型の枠を藁の上に乗せていたので、その跡がついた)とタレッジョのロゴマーク。
内層の様子:生地はアイボリー色で気泡はほとんど無く、むっちりと柔らか。とてもきめ細かくてなめらかである。熟成が進むと表皮の下から徐々にカスタードの様に柔らかくなっていく。
味:ウォッシュ系独特の香りはあるが、口に入れるととてもなめらかでクリーミー。軽い酸味とミルクの甘み・コクを感じ、味自体はとてもマイルド。
ワインとのペアリング:果実味のあるミディアムボディの赤。キャンティ等。


タレッジョの産地、名前の由来

もともとタレッジョが作られていたのは、イタリア北部のタレッジョ渓谷(Val Taleggio)。アルプスでの夏の放牧を終え、南へと移動してきた牛たちの中継地点でした。そんな山間部で作られる、むっちりと柔らかいチーズの総称として使われていたのが、「疲れた」という意味の「ストラッキーノ」と言う名前。移動で疲れた牛のミルクで作ったチーズだった事からそう呼ばれていましたが、タレッジョもそんなストラッキーノのひとつ。良く知られているブルーチーズ、“ゴルゴンゾーラ”も、実はストラッキーノの一種で、かつては、“stracchino di Gorgonzola(ゴルゴンゾーラ村のストラッキーノ)”と呼ばれていました。

ストラッキーノの一種だったタレッジョが、他のものと区別して「タレッジョ」と呼ばれるようになったのは、20世紀になってから。タレッジョの美味しさゆえ、人気と共に生産地が広がって行きましたが、タレッジョのルーツや製法を守り、他のストラッキーノと区別するため、原産地の名前を取って「タレッジョ」と呼ばれるようになりました。
最初はロンバルディア州中北部のタレッジョ渓谷で作られていた“タレッジョ”ですが、現在はロンバルディア州南部の平野部でも多く作られています。


タレッジョの製法

1.牛乳の全乳を32~35℃に温め、乳酸菌を加えて酸度を上げ、風味が増すようにする。
2.仔牛の胃袋から採ったレンネット(凝乳酵素)を加えてミルクを固める。
3.固まったミルク(カード)を10~25分寝かせてから、2回に分けてカットする。一度目は大きな塊にカット。10~15分休ませ、今度はヘーゼルナッツサイズ(約1.5cm角)になるまでカットし、カードを固形分と水分(ホエー)に分離させる。
4.一辺が約20cmの正方形の枠型にカードを入れて水分を抜く。
5.チーズを型ごと数回ひっくり返しながら、22~25℃の所に8~16時間置いて型から出す。
6.乾塩を振りかけるか、塩水に漬けるかのどちらかの方法で塩付けする。塩によって余分なホエーが更に抜け、表皮の形成を助ける。また、味わい・風味が増し、雑菌の繁殖を抑える。
7.木の板の上に乗せ、室温2~6℃、湿度85~90%の熟成庫で熟成。熟成中は週に1度ひっくり返し、塩水を含んだスポンジで磨く。そうする事で不必要なカビは取り除かれ、ピンクがかったオレンジ色の表皮が出来上がります。
最低35日の熟成期間を経て出荷されます。


食べ方

・パンにのせて軽く焼き、少し溶けてきたところをいただく
・リゾットやパスタ等のソースに
・キッシュやタルトに。混ぜ込んだり、スライスしたものを上に並べて焼く。
・パイ生地で包んで焼いても美味。
・カットしたタレッジョにレーズンをのせて。
・切れ目を入れたドライイチジクに挟んで
・とろりとしたバルサミコソースをかけて
・いちじくやチェリーのジャムをのせて
・衣をつけて揚げると良いおつまみに
・ルッコラやトレビスと一緒にサラダにして

やさしくクリーミーな味わいで多くの人に好まれるタレッジョ。食べ方も様々でとても使い勝手の良いチーズです。
人が集まる時、美味しいチーズ料理が食べたい時、チーズ選びに迷った時は、まずタレッジョがおすすめです。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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