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10月の騰落率上位はトルコと米国REIT投信

2014年10月31日の日本銀行による追加緩和による日本株の急騰は記憶に新しいところですが、残念ながら10月の投資信託の騰落率上位に日本株ファンドは入ってきませんでした。トルコ株式並びに債券、米国REITを投資対象とする投資信託が上位を占めています。10月の1ヵ月と長期5年の騰落率を見てみることにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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2つの投資対象が上位を占める

2014年10月は月初にIMF(国際通貨基金)が世界経済の見通しを引き下げたことから、世界の株式は月半ばにかけて一時急落しました。月末に日本銀行が追加緩和を行った後は、世界同時株高となったものの、10月前半の下落分を埋めてややお釣りがくる程度の上昇に過ぎませんでした。

10月の1ヵ月の投資信託の騰落率も、二桁以上の上昇となったのは3本とやや少なかったようです。騰落率上位を占めたのはトルコの株式や債券、米国REIT(不動産投資信託)を投資対象とし、また通貨選択型が多くなっています。

第1位は損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントが運用する「トルコ株式オープン」で、騰落率は10.46%でした。同投信が運用する「ランジング・トルコ株式ファンド」も、騰落率9.64%で第4位に入っています。

第6位にトルコの債券を投資対象とする「新光トルコ・リラ債券ファンド(毎月決算型)」が入っていることを考えると、株式や債券の価格上昇よりもトルコリラ高/円安が進んだことが騰落率上位にランキングされた要因と考えられます。

この3本のトルコを投資対象としたファンドを除けば、騰落率ベスト10は全て米国REITファンド。ベスト20まで見ても、第11位に「トルコ・ボンド・オープン」が入った以外は全て米国REITファンドでした。これだけ投資対象が偏るのはやや珍しい状況のような気がします。

米国REITを投資対象とするファンドが騰落率の上位を占めたのも、米国REITの上昇も然る事ながら、円安/米ドル高が進んだ影響が大きいと言えます。投資信託の騰落率に関していえば、日本銀行の追加緩和は投資対象よりも為替に大きく影響を与えたような気がします。

騰落率ベスト10は

トルコ株式・債券、米国REITを投資対象とする投資信託が上位を占める


5年の騰落率は日本株が上位に

10月の1ヵ月の騰落率は寡占状態でしたが、5年という長期になると様相が変わってきます。上位を占めるのは日本株の中でも新興市場株や中小型株式を投資対象としたタイプ、テーマ株式の中でバイオ株、米国REITなどと多種多様な投資対象となっています。

日本株が上位を占める5年騰落率

日本株が上位を占める5年騰落率


投資信託はブル・ベア型を除けば、長期で資産形成を行っていく金融商品です。短期的な騰落率だけではなく、長期の騰落率(運用成績)なども投資信託選びの際には気を配りたいものです。

第1位はDIAMアセットマネジメントが運用する「DIAM新興市場日本株ファンド」で、5年間の年率のリターンは34.26%でした。唯一の30%超えのファンドです。近年、新興市場ではガンホー・オンライン・エンターテイメント、ミクシィなどの大化け株が現れましたが、これら大化け株を上手く組み入れた結果と思われます。

第3位の「証券ジャパン日本株オープン」もDIAMアセットマネジメントが運用する投信ですが、やはり大化け株を組み入れた結果と思われます。新興市場株式の売買を行う投資家は、同運用会社のマンスリーレポートなどを参考にされるのも一つの手かもしれません。

第4位にはピクテ投信投資顧問が運用する「ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月決算型)為替ヘッジなしコース」が、5年間の平均リターンで25.26%をあげています。通常、テーマ株式ファンドは、ブームが去ると鳴かず飛ばすという状況になるのですが、バイオ株ファンドが数本騰落率の上位に入っているところを見ると、一時のブームだけではなく息の長いテーマとされているようです。

近年では、バイオ関連企業のM&Aなどが活発に行われていることも、バイオ株ファンドが好成績である要因と言えそうです。2014年に入ってNYダウ、S&P500種などの株価指数が史上最高値を更新していることを考えれば、米国株ファンドなどもランクインしてもおかしくはないのですが、バイオ株のようなテーマ型を除けば、第16位に野村アセットマネジメントが運用する「米国NASDAQオープンBコース」、第18位にフィデリティ投信が運用する「フィデリティ・レバレッジド・カンパニー・ストック・ファンドBコース(為替ヘッジなし)」が入っているに過ぎません。

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