やがて2011年『ファントム』より蘭寿とむさんの相手役に。新トップコンビの一作目はミュージカルの大作『ファントム』で、ファントムが一途に愛する娘、クリスティーヌを可憐に好演。
可愛らしい娘役から一転「こんな役も似合う!」と面白かったのが『復活』のカチューシャ。初々しい少女から娼婦に落ち、やがて殺人罪に問われる罪人となっていくカチューシャの生き様を巧みに熱演しました。
(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ
ハリウッド女優のようにキュートでセクシーだったのが『オーシャンズ11』のテス。蘭寿とむさんとのフィナーレのデュエットダンスは、名ダンサーコンビの魅力が盛りだくさんのナンバーになりました。
古典的なコスチュームプレイの『愛と革命の詩-アンドレア・シェニエ-』のマッダレーナでは、愛する人と共に死ぬことを選ぶ強さや深さを表現。
F・スコット・フィッツジェラルド原作の『ラスト・タイクーン ―ハリウッドの帝王、不滅の愛―』では、キャサリン・ムーアとミナ・デービスの二役を好演しました。
蘭乃はなさんと言えばダンス。エレガントで伸びやか、キレがありセンス抜群。極上のダンスの名手、蘭寿とむさんの隣で、さらに技術やセンスを磨きあげ、近年のトップ娘役の中で随一のダンサーとなりました。
蘭寿とむさん退団後、明日海りおさんの相手役を務めます。
新コンビお披露目作品は『ベルサイユのばら』-フェルゼンとマリー・アントワネット編―。我が子との別れ、牢獄の場面では観客を泣かせ、凛とした風格で堂々とマリーアントワネットを演じました。
そして退団公演は、前出のマリーアントワネットと共に、宝塚の娘役なら誰もが憧れる最高峰の役、『エリザベート』のエリザベート。自由奔放で、何物にもとらわれない蘭乃さんの役作りは、新たなエリザベート像を作り上げました。
エピローグのトートを受け入れ昇天するシーン。すべてを成就し、そしてすべてを解放したかのように輝く笑顔は、宝塚を去る蘭乃はなそのものでした。
サブリナを演じていた頃、三名ものトップスターの相手役を務めることになろうとは、ファンも、そしてご本人も思っていなかったことでしょう。
ダンスに比べ課題だった歌の力もめきめきと付け、やがてエリザベートを演じるまでに成長しました。
芝居のセンスの高い人で、蘭乃さんの演じた役はどれも実在感を感じさせ、観客の心に気持ちよくストレートに響きました。
ひと役ごとに大きく開花した偉大な娘役、蘭乃はな。
らんちゃん……
ありがとう。お疲れ様でした。
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