100年店ランチ/東京の100年店ランチ

みの家(馬肉料理/森下/創業1897年)(2ページ目)

かつては庶民の味方、いまは貴重な存在……今回は東京でも数少ない馬肉料理の専門店、森下の「みの家」をご案内します。

菅野 夕霧

執筆者:菅野 夕霧

100年店ランチガイド


趣きある空間でいただく老舗の味-土・日・祝も営業

年代物の鍋は青銅製

味噌だれは八丁味噌と江戸甘味噌の合わせ味噌

友人と2人、開店時間の12時少し前にみの家へと伺います。あら、もう開いている……そのまま暖簾(のれん)をくぐると、下足係の方がいらっしゃいます。いいですね、この風情。靴札を渡され、奥の大広間の座敷へと通されます。しかしオープンの12時前だというのに、私たちより先に何組もお客さんがいて、すでに鍋のスタンバイ状態。待っている方がいたら少し早くスタートするのでしょうかね(笑)。

大きな縦長の座敷の両サイドに配された長いステンレスの卓。わたしたちは座敷の奥の方の位置に、向い合わせのかたちで腰を落ち着けます。卓の幅はそれほどなく、向かいの人との距離は近いですね。どこを眺めても歴史を感じる趣きある空間。大広間の周囲には回り廊下があります。

別皿で提供される野菜類

別皿で提供される野菜類

同店ではメニュー自体も、入る注文もほぼ「桜なべ」です。わたしたちも1人前1900円の桜なべに、こちらもほとんどの人がオーダーする「生玉子」(50円)を追加で頼みます。溶き卵にくぐらせて食べるすき焼きスタイルですね。

運ばれてきた鍋。割り下をひいた鍋の中には馬肉2人前と、脂身、オリジナルの味噌だれが入っています。別皿で登場した具材は、ネギ、麩、白滝。こちらを入れて火をつけます。この日は日曜日ということで友人と2人、瓶ビールで乾杯を……周囲を見渡すと多くの人たちも同様に酒類を頼んでします。休日のお昼ならではの光景でしょうか。
年代物の鍋は青銅製

年代物の鍋は青銅製

鍋が煮立ってきたら食べごろです。青森の直営牧場から運んでいる馬肉はまったくクセがなく、すいすいと食べ進められます。割り下と味噌が沁み込みやすい具材類……よく考えられていますね。サイドメニューには「焼きとうふ」(350円)や「榎茸」(350円)も。今回はスルーしましたが、次回は試してみたいですね。

鍋の残り汁をすべて使った〆のごはん

鍋後に残ったものと白飯

鍋後に残ったものと白飯

一通り鍋を食べ終えたら、もう1つのお楽しみの〆です。鍋には割り下と味噌、具材から出た出汁等が残っています。そして手元には溶き卵の残りがあります。ここで、「御飯」(350円)をオーダーします。もちろん最初から御飯をオーダーして鍋とともに白飯を、というスタイルもありますが、今回はわたし好みの〆のカタチのご紹介です。
残った溶き卵を鍋の中に

残った溶き卵を鍋の中に

小さなお櫃に入ったご飯が登場します。御飯は1つで2人前程度入っていますので、今回は1人前の注文です。まずは、手元の溶き卵を2人とも鍋に投入し、残っている汁と混ぜます。火をつけて、半熟になったあたりで火を止めます。こちらの鍋の中身を、茶わんに盛った白飯にかけていただく……つまり、馬肉の鍋で出た出汁をすべて含んだスペシャルな“卵かけごはん”の完成です。

ちなみに今回は火を止めるのが少し遅くなり、火がしっかり入った親子丼風?になってしまいましたがご愛嬌(笑)。

土・日・祝は「通し営業」の同店

土・日・祝は「通し営業」の同店

大満足の〆を終えた後、会計は席で行います。その場で会計済みの木札がもらえますので、靴札と合わせて2つの木札を玄関で渡すことになります。

かの池波正太郎氏も「馬の肉が、こんなにうまいものなのか……」と書くなど、ひいきにしていたことでも有名なみの家。明治時代は庶民の味方、そして今はなかなかお目にかかれなくなった貴重な馬肉料理店でランチはいかがでしょうか?

■みの家
・住所:東京都江東区森下2-19-9
・TEL:03-3631-8298
・営業時間:平日・土曜は12:00~14:00/16:00~21:30、日曜・祝日は12:00~21:30
・定休日:木曜、5月~10月の第3水曜
・地図:Yahoo! 地図情報
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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